2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しいトレーサーにより海洋底ペリドタイトからマントルの地球化学的不均質を検証する
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14540457
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
熊谷 英憲 独立行政法人海洋研究開発機構, 深海研究部, 研究員 (10344285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 なつ江 独立行政法人海洋研究開発機構, 深海研究部, 研究員 (80302933)
羽生 毅 独立行政法人海洋研究開発機構, 固体地球統合フロンティア研究システム, 研究員 (50359197)
佐藤 佳子 独立行政法人海洋研究開発機構, 固体地球統合フロンティア研究システム, 技術研究員 (40359196)
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Keywords | 海洋底ペリドタイト / 希ガス同位体 / ヘリウム / 鉛直不均一 / リチウム同位体 / 二次変質 / かんらん石 |
Research Abstract |
前年度に獲得した海洋底ペリドタイト試料の希ガス同位体データは、査読を経て世界初の例として米国地球物理学連合の2003年12月付け電子ジャーナルに掲載となった。引き続き海底露頭から採取された一連のペリドタイトについて、ヘリウム分析を優先したところ、ヘリウム濃度に関して鉛直方向の不均一が示された。また調査航海への乗船によって研究代表者が昨年度新たに獲得した試料についても、同位体分析のための準備を始めた。一方、難揮発性元素同位体については、近年のリチウム同位体の研究によって二次変質の影響が明らかにされてきたことから、本研究でも詳細に検討する必要が生じた。この目的で、本研究で対象としている海洋底ペリドタイトと鉱物組成などで類似性があるようなマントル由来の捕獲岩や古い火山岩試料のデータを基に、鉱物ごとに二次変質による同位体比の改変などの影響を検討した。その結果マントルの主要構成鉱物のなかで、かんらん石は単斜輝石に比べて二次変質の影響を受けやすいことを明らかに出来た。この成果の一部は当初研究分担者であった西尾博士によりまとめられ、現在国際誌あてに投稿中である。加えて、この検討を通じ、マントルを構成する鉱物の中では二次変質の影響を受けにくい単斜輝石といえども、リチウム同位体のように鋭敏な元素においては同位体組成に対しての二次変質の影響を考慮せざるを得ないことが判った。従って、アルゴン同位体のようないっそう二次変質の影響を受けやすい元素の同位体を予め分析することで、変質が極めて少ない新鮮な試料を選びだし、リチウムを含めた難揮発性同位体分析を行うことが重要である。このような方針で現在研究を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kumagai, H., Dick, H.J.B., Kaneoka, I.: "Noble Gas Signatures of Abyssal Gabbros and Peridotites at an Indian Ocean core Complex"Geochemistry, Geophysics, Geosystems. 4・12(on line). 9107 (2003)
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[Publications] Nishio Y., Nakai S.i., Yamamoto J., Sumino H., Matsumoto T., Prikhod'ko V.S., Arai S.: "Lithium isotopic systematics of the mantle-derived ultramafic xenoliths : implications for EM1 origin"Earth Planet.Sci.Lett.. 217・3-4. 245-261 (2004)
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[Publications] Yoshiro Nishio, Shun'ichi Nakai, Tetsu Kogiso, Hans G.Barsczus: "Lithium, strontium, and neodymium isotopic compositions of oceanic island basalts in the Polynesian region : constraint on the Polynesia HIMU origin"Geochemical Journal. 掲載予定.
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[Publications] Yamamoto, J., N.Hirano, T.Hanyu, H.Kagi, I.Kaneoka: "Noble gases in mantle-derived xenocrysts in an alkali basalt from Japan Trench oceanward slope."In "Plume and Problems of deep Sources of Alakline Magmatism (ed.by N.V.Vladykin), Irkutsk State technical University. 39-50 (2003)
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[Publications] Nohda, S., I.Kaneoka, T.Hanyu, K.Uto: "Systenatic variation of Sr, Nd and Pb isotopes with time observed in lavas of Mauritius Island."J.Petrology. 印刷中. (2004)