2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540474
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
木寺 詔紀 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 教授 (00186280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池口 満徳 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助教授 (60261955)
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Keywords | タンパク質ダイナミクス / 基準振動モード / 非線型振動 / 主成分解析 / 多様体 |
Research Abstract |
強い非線形性を含む蛋白質の運動は、その生物学的な機能の特異的かつ規則的な発現に密接に関わっている。原子レベルの空間分解能をもつ分子動力学シミュレーションは、蛋白質の非線形ダイナミクスを解析する最も強力な手段のひとつである。本研究では、各時間での運動を調和近似により定義し、その調和運動の時間変化により長い時間スケールの運動を記述するモデルを用いて、蛋白質のダイナミックな運動を解析した。 調和運動の計算には、短い時間幅での主成分解析を用いた。調和運動の時間変化は、線形なモードで張られる座標系の並進(平均構造の変化)と回転(モードの方向の変化)として表現される。時間窓をずらしながら主成分解析の計算を繰り返すことにより、モード座標系の並進と回転を時間軸に沿って観測した。これは数学的には、多様体として括られる見地のひとつの表現である。 まず始めに、ミオグロビンの温度一定の平衡状態に対してこのモデルを適用した。時間変化する座標系に沿った運動の様子をみると、固定軸方向には拡散的であった運動が振動的なものになることから、この調和近似モデルが妥当であることが確かめられた。平均構造は、調和近似での揺らぎの大きな方向に大きく運動する傾向が見られた。これは、調和的な運動が平均構造の並進を決定づけていることを示している。また、各々のモードに注目すると時間とともに回転しているが、揺らぎが同程度のモード方向への回転が主であり、全体的な調和運動はそれほど変化が見られなかった。しかしながら、調和運動の変化に寄与する回転は高温になるほど大きくなっており、高温での運動の強い非線形性を示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Joti M.Nakasako, A.Kidera, N.Go: "Nonlinear temperature dependence of crystal structure of Lysozyme : Correlation between coordinate shifts and thermal factors"Acta Crystallographica Section D. 58. 1421-1432 (2002)
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[Publications] K.Moritsugu, O.Miyashita, A.Kidera: "Temperature Dependence of Vibrational Energy Transfer in a Protein Molecule"Journal of Physical Chemistry B. 107. (2003)