2003 Fiscal Year Annual Research Report
反応遷移状態における衝突錯合体の幾何構造選別による反応制御
Project/Area Number |
14540480
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蔡 徳七 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20273732)
|
Keywords | OHラジカル / 衝突錯合体の幾何構造 / 分子配向 / 偏向レーザー / アライメント状態選別 / 超熱分子線源 / 反応制御 / 反応の遷移状態 |
Research Abstract |
化学反応動力学を研究する目的の一つは、多様な反応分岐を示す化学反応において"欲しいものだけを効率よく生成する"、すなわち化学反応を制御するための指針を与えることである。我々は化学反応の反応分岐や反応速度の情報を有する反応の遷移状態における衝突錯合体の構造を制御することができれば化学反応が制御できるのではないかと考えた。すなわち、分子の配向状態を選別することが可能であるならば遷移状態における衝突錯合体の構造を規定した実験が可能となり、あらゆる配向状態の下での反応確率を求めることで化学反応を制御する可能性を調べる研究を計画した。 本研究ではOHラジカルとHCl分子の反応を取り上げた。H_2Oの電気放電によりOHラジカルを高密度で生成したのち六極不均一電場を用いてOHラジカルの配向状態を選別することに成功した。実験結果は報告した。一方、偏向レーザーを用いてHCl分子のアライメント状態を選別することにも成功した。これはレーザーの電場ベクトルと垂直方向を持つ分子を解離することで分子線中から取り除き、分子軸とレーザーの電場ベクトルが平行な方向を持つ分子のみを選別するという方法である。 OHラジカルとHClの反応においてはCl原子とH_2O分子が生成する。我々は生成したCl原子を多光子イオン化法を用いて検出することを試みた。現在のところ反応生成物を検出するには至っておらず、生成物の検出に関する改良が必要である。これは今後の課題であるが、近い将来成功すると確信している。 本研究期間においては更に、反応の衝突エネルギー依存性を調べるために、超熱分子線源の開発を同時に行った。その結果、HCl分子の並進エネルギーを2eVまで自由に制御することが可能となり、今後の研究に応用する予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.Hashinokuchi: "Single |JΩM_J> state-selection of OH radicals using an electrostatic field"Phys.Chem.Chem.Phys.. 5. 3911-3915 (2003)
-
[Publications] Y.Shimizu: "Electrostatic hexapole state selector : Honeycomnb field for integrating intensity of oriented molecular beams"Rev.Sci.Instr.. 74. 3749-3752 (2003)
-
[Publications] D.C.Che: "Vibrational structure of linear [ClDCl] transition region species formed by 243-nm photodissociation of (DCl)_2"Bull.Polish.Acad.Sci.Chem.. 50. 491-499 (2002)