2004 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子素子をめざした電気化学的スイッチング機能を有する有機酸化還元系の構築
Project/Area Number |
14540486
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊東 俊司 弘前大学, 理工学部, 教授 (10213042)
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Keywords | 単一分子素子 / 有機酸化還元系 / シアニン系色素 / エレクトロクロミズム / クロスカップリング反応 / 有機金属試薬 / π電子系化合物 / 非ベンゼン系芳香族化学 |
Research Abstract |
分子素子構築の研究は、単一分子を用いた分子エレクトロニクスの領域に発展を遂げようとしている。しかしながら、これまでのシステムでは情報の伝達が1電子の授受を介して行なわれてきた。その結果、生成するラジカルイオン状態の安定性に大きな問題を残していた。その解決に、2電子ずつの電子移動を伴う閉殻系の適応を試みてきた。これまでの研究で有用性が見出されたアズレン環を複数個、2位もしくは6位で結合することにより、期待する2電子ずつの電子移動に基づいたスイッチング機能を有する応答性分子の構築を行なった。 これまで、アズレン環の6位での直接もしくはスペーサを介した新たなπ系への集積について検討してきた。今回、新たにアズレン環の2位での直接もしくはスペーサを介したπ系への集積を達成した。アズレン環の2位での直接の集積は、アズレン類の化学では適応例が少ない遷移金属触媒反応の活用によりはじめて達成された。また、遭遇した生成物の難溶化の問題は、長鎖置換基としてオクチル基を導入したアズレン類を効率的に合成することで解消された。スペーサーを介した集積として立体障害の小さなエチニルスペーサーの導入を行なった。生成した新規なπ共役系化合物の酸化還元的挙動についてはCV法により検討を加えた。その結果、結合するアズレン環の数に対応して多段階の電子移動が達成されることを明らかにした。これらの化合物がこれまでの研究で提唱することができたシアニン-シアニンハイブリッド構造の概念に基づき、2電子の電子移動に基づくエレクトロクロミズム系として機能することを期待している。また、オクチル基の結合により、これらの化合物が、酸化還元的な応答に加え、液晶としての応答機能を合わせもつことを明らかにすることができた。さらに、結合するπ系にp-フェニレンジアミンを用い、複数のアズレン環の6位との結合により、アミンの酸化的挙動に加え還元的な挙動を併せ持つ多重の応答性有機酸化還元系の構築に成功した。
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Research Products
(3 results)