2003 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価結合特性を活用した大環状化合物の新合成法の一般化とその応用
Project/Area Number |
14540502
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松村 昇 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40125274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 一彦 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10109879)
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Keywords | 超原子価硫黄 / テトラアザチアペンタレン / 大環状化合物 / 環拡大 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究では課題研究について検討し、次のことを明らかにした。1)超原子価硫黄をもつテトラアザチアペンタレン誘導体(1)と剛直なp-キシリレンジイソチオシアナートとの反応では分子間交換反応が起こり、ペンタレン環を2個もつ大環状化合物(2)が高収率で得られた。2)分子内に2個のテトラアザチアペンタレン誘導体をもつ化合物(3)とp-キシリレンジイソチオシアナートとの反応では1)で述べた同様の反応が進行し、ペンタレン環を4個もつ積層型大環状化合物(4)が得られた。3)化合物1と柔軟な構造をもつ長鎖のエーテル結合をもつジイソチオシアナート類との反応では、分子間反応、つづいて分子内交換反応が起こり、ペンタレン環を1個もつ大環状化合物(5)が得られた。4)1)-3)で合成した化合物2、4および5を水素化ホウ素ナトリウムで還元すると、超原子価硫黄が脱離し、複数のチオ尿素部位をもつ大環状化合物がそれぞれ、高収率で得られた。5)ペンタレン環をもつ大環状化合物のアルカリ加水分解反応ではペンタレン環のC=S^<IV>部位が選択的に開列し、数多くの尿素部位をもつ大環状化合物に高収率で変換された。これまでの大環状化合物の合成法は高度希釈法や鋳型反応を用いて行われ、かつ収率も著しく低い。本反応は超原子価結合特性を用いたものであり、これまでの合成手法と全く異なり、しかも収率がよいのが特徴である。本研究で合成した大環状化合物はアニオンレセプターとして、有用であり、また金属錯体のリガンドとして期待大である。本研究で開発した合成手法は構造を考慮したスペーサーをもつジソチオシアナート類を用いれば多くの有用な大環状化合物への展開が期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Okumura, S.Murakami, H.Maeda, N.Matsumura, K.Mizuno: "Synthesis and Dual Binding Character of Novel Macrocyclic Thiourea Derivatives"Tetrahedron Lett.. 44. 8183-8185 (2003)
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[Publications] N.Matsumura, A.Ito, M.Tomura, Y.Okumura, K.Mizuno: "Reaction of Tetraazathiapentalene and Thiadiazolopyrimidine Derivatives with Heterocumulene"J.Heterocycl.Chem.. (in press). (2004)