2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸化数状態が関与するキラル多核錯体の選択的組織化と化学的機能
Project/Area Number |
14540510
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡本 健一 筑波大学, 化学系, 教授 (70132983)
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Keywords | 硫黄架橋多核錯体 / 電気的酸化還元挙動 / 電気分光化学 / 分光化学的性質 / 立体化学的性質 |
Research Abstract |
配位可能な硫黄原子を有する八面体型単核錯体は、構造を保持しながら反応させる金属イオンに依存した硫黄架橋多核錯体を形成する。これら多核錯体では、酸化還元反応で生じる化学種の立体構造や電子状態に興味が持たれる。本研究では、硫黄架橋三核Co(III)錯体について、電気化学的酸化還元反応による化学的性質や立体構造への影響を、分光セル電極を作用電極とした電気化学的手法により追求した。光学活性なL-システインとその誘導体を架橋配位子として用い、類似キラル三核錯体の架橋配位子内置換基が、電気化学的酸化還元反応の分光化学的、立体化学的性質に与える影響について検討した。この結果、三核Co(III)錯体は電気化学的な段階的還元反応性を示し、配位子内にキラル部位を含まない異性体では光学不活性体へと変化する。またジアステレオ異性体の場合、安定な絶対配置を保持する還元反応と、水素結合など付加的な構造的安定化による絶対配置の反転を伴う選択的な還元反応を示した。二核錯体を用いて検討すると、さらに興味深い知見を得ることができた。つまり、二核錯体の再編酸化還元反応は、各錯体中の金属イオンによる異性化よりも速く進行し、再編後の三核錯体の酸化還元挙動が各錯体中のCo(II)イオンによる異性化に依存すると考えられた。さらに、中心金属イオンをMo、Ru、Reとした三核錯体の系でも、空気酸化、Cs(IV)イオンによる化学酸化、電気化学的酸化を試みた。生成した一電子酸化錯体では、中心金属部位に電荷が局在化するのではなく、系全体に非局在化していると考えられた。得られた一電子酸化錯体の立体化学、分光化学的性質、電気化学的反応性なども追求し、酸化手法との関係について明らかにするなど、興味深い結果を得た。また、これら三核錯体を用いて、S-S結合を有するビススルフィド二核錯体の生成経路が明らかにできた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 岡本健一 他5名の共著: "UV-Vis Absorption and CD Spectroelectrochemical Studies on S-Bridged"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 76. 1191-1197 (2003)
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[Publications] 岡本健一 他4名の共著: "Optically Active Sulfur-Bridged Co(III)-M(II) (M=Pd, Pt) Dinuclear Complexes with"Polyhedron. 22. 1507-1513 (2003)