2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540523
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
赤司 治夫 岡山理科大学, 自然科学研究所, 講師 (30221708)
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Keywords | 混合金属錯体 / 硫黄架橋 / カルコゲニド / モリブデン錯体 / チアカリックスアレーン / 鎖状化 / 金属挿入反応 |
Research Abstract |
本研究では、Mo_3S_4骨格をもつアクア錯体[Mo_3S_4(μ_2-S)_3(μ_3-S)(H_2O)_9]^<4+>を含硫黄有機環状配位子であるチアカリックスアレーン誘導体の上に固定化する反応に成功した。この中で、2つのMo_3S_4アクア錯体をチアカリックスアレーン[4]テトラスルホネート(=TCAS)上に固定化した[(μ_2-S)_3Mo_3(μ_3-S)(H_2O)_6TCAS(H_2O)_6(μ_3-S)Mo_3(μ_2-S)_3](A)は、各種の金属源と高い反応性を示す三つの架橋硫黄原子(μ_2-S)がTCASの前と後ろに突き出した構造をとっていることが明らかになった。この構造は、ちょうど鉄道車両(TCAS分子)の前後に連結器(Mo_3S_4骨格のμ_2-S)がある構造によく似ている。この連結器部分に適当な金属(M)を挿入することにより、錯体Aが鎖状につながった-M-A-(M-A-M)n-型の新しい化合物を合成することが可能になると考えられる。すでに錯体Aと各種金属、および金属イオンとの反応性について試験が進行している。特に、錯体Aと金属銅、および銅イオンとの反応において、興味深い金属挿入反応が進行することが確認された。現在その反応生成物の結晶化を試みている。 またTCAS上に一個のMo_3S_4骨格を固定化したHNa[(μ_2-S)_3Mo_3(μ_3-S)(H_2O)_6TCAS](B)の合成と、単結晶構造解析に成功した。 今回合成に成功した錯体Aや錯体Bは、混合金属カルコゲニド架橋錯体を合成し、その錯体を鎖状に連結する反応を行うための基本ユニットとして、有望であることが明らかになった。 錯体A、錯体Bの合成と性質に関する一連の研究成果は、昨年秋に東京で開催された錯体化学討論会において一部報告した。^<1)> 1) 赤司他、第52回錯体化学討論会講演要旨集、3c-A03、東京2002年10月
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