2002 Fiscal Year Annual Research Report
スーパークリプタンド構造の構築と特異的な分子認識の発現
Project/Area Number |
14540526
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
平谷 和久 宇都宮大学, 工学部・応用化学科, 教授 (40343082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
刈込 道徳 宇都宮大学, 工学部, 助手 (00224709)
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Keywords | タンデムクライゼン転位反応 / クラウノファン / ロタキサン / 分子認識 / チリウム選択性 / 蛍光スペクトル / エネルギー移動 |
Research Abstract |
タンデムクライゼン転位により合成した25員環を有するクラウノファンとエチレン鎖を持つビス酸クロリド(コハク酸ジクロリド)との反応で分子内ジエステル化合物を生成し、さらに、嵩高い末端基を有するアミンを反応させることによって、ロタキサンを効率よく合成することができた。さらに反応条件を検討し、温度を低目にして(室温近辺)、反応時間を長くすることにより、ロタキサン収率を上げることに成功した。また、この反応条件を用いて種々のオリゴメチレン鎖を持つビス酸クロリドとの反応を経由するロタキサン合成を収率よく行うことができた。 これらのロタキサンのうち、軸分子の両末端基としてアントラセン環をもつロタキサンは、蛍光スペクトルにおいてローター分子のナフタレン環の励起波長を照射することで、ナフタレン環自体の蛍光スペクトルではなく、軸分子のアントラセン環に由来する蛍光スペクトルが現れた。これはナフタレン環からアントラセン環へのエネルギー移動が生じた結果であった。 これらの実験結果を踏まえて、軸分子として種々の長さのアルキレン鎖をもつものを合成し、2つのアミド基のカルボニル酸素原子が有効にカオチンゲスト分子種の相互作用を検討したところ、軸分子としてアジピン酸アミド部分をもつロタキサンはリチウムのみ選択的な蛍光挙動を示すこと、NMRにおいては明確なスペクトル変化を示すことを見出した。これらの現象はローター分子と軸分子が協同的に働いて分子を認識している結果と考えており、今後、軸分子の構造を変えて、イオン認識と構造との相関性を明らかにしていくつもりである。
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[Publications] H.Azehara, W.Mizutani, Y.Suzuki, T.Ishide, Y.Nagawa, H.Tokumoto, K.Hiratani: "Fixation and Systematic Dilution of Rotaxane Molecules on Self-Assembled Monolayers"Langmuir. (in press). (2003)
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[Publications] 平谷和久, 名川吉信, 徳久英雄, 小山恵美子: "タンデムクライゼン転位:新規機能性フェノール誘導体の構築"有機合成化学協会誌. 61・2. 111-122 (2003)
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[Publications] K.Hiratani, J.Suga, Y.Nagawa, H.Houjou, H.Tokuhisa, M.Numata, K.Watanabe: "A new synthetic method for rotaxanes via tandem claisen rearrangement, diesterification, and aminolysis"Tetrahedron Letters. 43. 5747-5750 (2002)
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[Publications] E.Koyama, G.Yang, S.Tsuzuki, K.Hiratani: "Synthesis of Novel Bis(benzoxazole)Derivatives by Tandem Claisen Rearrangement and Their Fluorescence Behavior"European Journal of Organic Chemistry. 1996-2006 (2002)