2002 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱物質の吸着挙動および光分解メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
14540544
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
日高 久夫 明星大学, 理工学部, 教授 (70062312)
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Keywords | 二酸化チタン / 吸着 / 水晶振動子 / 内分泌かく乱物質 / 薄膜 |
Research Abstract |
本研究ではQCM (Quartz Crystal Microbalance)の水晶振動子表面にTiO_2を固定化し、これをセンサーとして利用する実験を行う。光照射によりTiO_2薄膜表面に吸着された基質は、分解が進行すると水溶液バルクに移動するが、また分解中間体等がTiO_2薄膜に再度吸着する。このため、高触媒活性のTiO_2固定化薄膜を作成することが重要なキーポイントになるが、この実験ではゾルゲル法、ペースト法、MOCVD法、レーザー気相法などにより均一で剥離しない安定な高活性TiO_2電極薄膜を作成する。この様な方法を用いて、吸着量に関する経時変化を追跡し、分解メカニズムを解明することは大変意義がある。一般に、内分泌かく乱物質は油溶性物質であることが多いが、紫外光照射により有機化合物の基質は、水溶性中間酸化生成物(例えば、ギ酸、酢酸やヒドロキシル化合物)を経て炭酸ガスとなり、系外に除去される。その際、ギ酸や酢酸はバルク水溶液に溶解するため、TiO_2表面から脱着する。QCM上では吸着により重量が増加するため、周波数が低下し、脱着ではその逆になる。すなわち、重量変化1ngの吸着が周波数変化1Hzに相当する。このようにTiO_2への吸着や脱着が分解速度に深く関連しているため、TiO_2薄膜をコートした水晶振動子電極を用いたQCMを内蔵する光化学反応装置を製作して、反応に伴う吸着量の経時変化を測定し、さらに、酸化中間生成物の同定および定量を表面増強ラマン分光法によって行う。ラマン分光測定ではバルク水溶液中で生成した有機脂肪酸の構造についての知見をうることができる。内分泌かく乱物質は約70種が指定され、複雑な化学構造のものが多いので、その分解メカニズムを解明することは意義がある。内分泌かく乱物質は、実際には濃度がppbレベルの非常に希薄な状態でしか存在しないので、高感度の分析法を必要とするが、その点、表面増強ラマン散乱(SERS)分光法は有利である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] G.Martra, S.Horikoshi, M.Anpo, S.Coluccia, H.Hidaka: "FTIR study of adsorption and photodegradation of L-α-alanine on TiO_2 powder"Res. Chem. Intermed.,. Vol.28 No.4. 359-371 (2002)
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[Publications] C.Guillard, S.Horikoshi, N.Watanabe, H.Hidaka, P.Pichat: "Photocatalytic degradation mechanism for heterocyclic derivatives of triazolidine and triazole"J. Photochem. Photobiol. A : Chem.,. Vol 149. 155-168 (2002)