2002 Fiscal Year Annual Research Report
不均一系立体区別触媒による光学活性アミンの高立体選択的合成
Project/Area Number |
14540546
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大澤 力 富山大学, 理学部, 助教授 (60213683)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高安 紀 富山大学, 理学部, 教授 (40019188)
|
Keywords | 立体区別触媒 / 不均一系 / 光学活性アミン / 赤外分光法 / 分子軌道法 |
Research Abstract |
不均一系立体区別触媒による光学活性アミンの合成に関する研究はこれまであまり行われておらず,報告されている立体選択性も低いのが現状である.不均一系修飾触媒による炭素-窒素二重結合を持つプロキラル化合物の立体区別水素化で高い立体選択性を得るためは,これに適した修飾剤を見いだすことが必要である.本研究は赤外分光法およびabinitio分子軌道法を用いて,これまでに高い立体選択性が得られているケトンと炭素-窒素二重結合を持つ化合物の相違を検討することにより,炭素-窒素二重結合を持つ化合物の水素化においても高い立体選択性を与える触媒を得ることを目的とする.本年度は実験条件確立のため,これまで高い立体選択性が得られている系(酒石酸-アセト酢酸メチル)を用いて(i)拡散反射法を用いた赤外分光法による修飾剤・基質のニッケル表面への吸着状態の解析,(ii)分子軌道法を用いた修飾剤-基質間の相互作用の解析を手がけた.(i)については,当初予定していた還元ニッケル触媒(表面積2〜3m^2)を用いた実験では酒石酸の表面吸着濃度が低く,検出に至らなかった.このため,表面積の大きいニッケル触媒としてニッケル微粉触媒(表面積20m^2)に酒石酸を比較的多量に吸着させる実験条件を現在検討中である.(ii)についでは,gaussian98を用いて,種々のケトン,オキシム,種々のカルボン酸(塩)の構造最適化および相互作用についての計算を行った.その結果,ケトンとカルボン酸との相互作用より,ケトンとカルボン酸塩との相互作用の方がはるかに安定であることが明らかとなった.このことは,効率的なエナンチオ面区別をするための酒石酸のニッケル表面での吸着状態を考える上で重要な知見である。
|