2002 Fiscal Year Annual Research Report
ジフルオロシクロプロパンを鍵中間体とする環境調和型物質変換法の創製
Project/Area Number |
14540547
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉田 正人 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50137030)
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Keywords | フッ素 / シクロプロパン / ラジカル反応 |
Research Abstract |
有機分子に一つまたは二つのフッ素、あるいはフルオロアルキル基を導入すると、ユニークな機能、物性の発現が期待できることから、含フッ素化合物の医薬、農薬等の生理活性物質、あるいは特徴ある機能を持った有機材料への応用が期待されており、ファインケミカルズや材料科学の分野での有機フッ素化学の利用が近年、益々活発になってきている。しかし、一般の有機合成化学の著しい進展に比べ、含フッ素有機分子の効率的な合成法の開発はまだ充分ではない。それはフッ素の強い電子求引性のため、含フッ素化合物の合成には炭素と水素の化学として発展してきた有機化学の従来の方法論はそのままでは使えない場合が多く、また出発原料となる工業一次製品である含フッ素化合物の種類も極めて限られているためである。このような観点から、我々は入手容易で安全な試薬であるハロジフルオロアルカン酸およびその誘導体を出発原料とした反応の開発を行ってきた。本科学研究費による研究ではクロロジフルオロアルカン酸を出発原料として有用な合成ブロックとして期待される含フッ素シクロプロパン誘導体を合成し、さらにそれを鍵中間体として、種々のより付加価値の高い有機フッ素化合物への変換法の検討を行った。 まず、フェニル基とホルミル基が置換したジフルオロシクロプロパンの合成を行った。このジフルオロシクロプロパンのホルミル基を反応点として、ケイ素ラジカルとの反応を行い、反応溶液を求電子剤で処理したところ、シクロプロパン環の開裂とともにラジカル種と求電子種が同時に導入された生成物が得られた。この結果を基に含フッ素シクロプロパンの新しい合成ブロックとしての地位の確立を目指している。
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