2002 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン類に対する超高圧溶媒の特異性に関する研究
Project/Area Number |
14540550
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
澤村 精治 立命館大学, 理工学部, 教授 (10167439)
|
Keywords | フラーレン / 高圧力 / 溶解度 / 相転移 / 相平衡 / 溶媒和結晶 |
Research Abstract |
今年度はトルエン中でのフラーレンC60の高圧溶解挙動を調べた。クランプ式の高圧用光学セルにトルエンと過剰のC60結晶を入れ、高圧溶解平衡システムでセルの吸収スペクトルの経時変化を追跡し溶解平衡挙動を調べた。溶解平衡時間については様々な報告があり、今回新ためて慎重に計測することとした。溶解平衡中の長時間の加圧処理による反応の可能性については、如圧後のフラーレンの吸収スペクトルが変化していないことから確認した。溶解平衡時間は条件にも依存するが、数日から数週間の非常に長い溶解平衡時間を要することが明らかとなった。そこで圧力装置のシール構造はより確実に長時間可能なようなものに改良すべく様々な材料・構造でテストをおこない、最終的に、オーリングを支えるバックアップリングとしてタフピッチ銅を焼鈍させたものを0.01mmの隙間でシリンダに入れ込んだ構造を用いることとした。このことで1ヶ月以上の間圧力の漏れを感知することなく数千気圧の圧力を維持できるようになった。この高圧装置でもって先の試料を攪拌しつつ、セルの吸収スペクトルを高圧力下で測定し溶解平衡と溶解度を測定し続けた。その領域は温度278-308K、圧力0.10-400MPaに渡り約50点の測定値をえ、溶解度の温度圧力曲面を描きつつある。この測定の結果温度および圧力に対する溶解度曲線の折れ曲がりが観測され、相転移の存在が明確になってきた。この圧力勾配からは溶解に伴う体積変化が得られ、温度勾配からは溶解に伴うエンタルピー変化が見積もられる。これらを常圧でのDSC測定および部分モル体積の測定値との比較を行いつつあるが、部分的に一致しないところがある。条件の違いによる結晶の状態の違いによると思われ、今後これらの測定結果を慎重に比較して、溶媒中での結晶の安定性、ヒステリシスについて解析し、溶媒中からの結晶の析出・溶解のメカニズムについて明らかにしていく。
|
Research Products
(1 results)