2002 Fiscal Year Annual Research Report
無機水性二相抽出法の高機能化と高速分離システムへの展開
Project/Area Number |
14540563
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渋川 雅美 日本大学, 生産工学部, 教授 (60148088)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南澤 宏明 日本大学, 生産工学部, 助教授 (50190707)
|
Keywords | 水性二相抽出 / 金属イオン / マスキング / 協同効果 / 抽出平衡 |
Research Abstract |
水性二相抽出法による金属イオンの選択的抽出システムを構築することを目的として,下記の研究を行なった。 (1)マスキング剤のスクリーニングと抽出平衡の解析 ポリエチレングリコール6000(PEG6000)-硫酸ナトリウム水性二相系における金属イオンの抽出挙動を,以下の条件下で検討した。抽出剤としては、すでにこれまでの研究により種々の金属イオンと錯形成して優れたPEG相への抽出能をもつことが明らかになっているヨウ化物イオンとチオシアン酸イオンを使用し,アンモニア,チオ硝酸イオン,グルコン酸イオン,EDTAのマスキング機能を調べた。その結果,ヨウ化物イオン系ではアンモニアがCu(II)の有効なマスキング剤として機能すること,またチオシアン酸イオン系では、チオ硫酸イオンがCu(II),グルコン酸イオンがFe(III)に対して選択的マスキング機能を示すことが明らかになった。このうちチオ硝酸イオン添加系については平衡論的解析を行い、Cu(II)にチオ硫酸イオンが2分子配位した錯体を形成することを明らかにした。一方,EDTAはすべての金属イオンの抽出を妨げたが,条件生成定数が小さい酸性領域で生成定数の差による抽出分離の可能性が示唆された。 (2)協同効果による抽出率と選択性向上の検討 いくつかの配位子の組み合わせについて検討した結果、チオシアン酸イオン系でチオ硫酸イオンはCu(II)のマスキング剤として機能する一方で,わずかではあるがZn(II)の抽出を増加させる協同効果を示すことが示された。 (3)相組成測定法の検討 水性二相抽出系における溶質の抽出機構を議論する場合,分離した二相の相組成を測定する必要がある。このうち特にPEGの濃度と分子量分布の測定を目的として、超高温水クロマトグラフィーによる測定条件の検討をおこなった。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] T.Yarita, R.Nakajima, M.Shibukawa: "Super-heated water chromatography of phenols using poly(styrene-divinylbenzene) packings as a stationary phase"Analytical Sciences. 19(2). 269-272 (2003)