2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540571
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 正人 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (30091440)
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Keywords | ショウジョウバエ / 分布の南限 / 耐寒性 / 寄生蜂 / 防御反応 / 代謝率 |
Research Abstract |
これまでの研究により、高緯度地域に生息するショウジョウバエは耐寒性が高く、またその多くは低緯度地域には生息していないことが明らかになっている。これらの高緯度種は耐寒性の獲得に伴い低緯度地域で生存し繁殖する能力を失ったと考えられる。低緯度では捕食圧や病原体の感染率が高いと考えられ、高緯度種は、低温耐性獲得により、捕食や感染の回避能力が低下したため、低緯度に生息できない、という可能性がある。そこで、昨年度から、捕食性寄生蜂に対する防御反応を高緯度種と低緯度種で比較することを目指し、寄生蜂についての研究を開始した。昨年度はまず、寄生蜂Asobara japonicaの寄主選好性を明らかにした。本年度は、さらに、A.rossica, A.mitsuii, Leptopilina victoriae, Ganaspis xanthopodaについてその選好性を明らかにした。今後、ショウジョウバエ各種のこれら寄生蜂に対する防御反応を調べる予定である。今年度はまた、冷温帯、暖温帯、亜熱帯より得られた28種のショウジョウバエを用い、高緯度地域に生息する種は代謝率を高めて寒さに対処している、という仮説について検討を加えた。その結果、一般的な解析でも、系統的制約を考慮した解析においても、この仮説は支持されなかった。むしろ、統計的には有意ではないものの、低緯度に生息する種の方が、代謝率が高いという傾向が認められた。このことは、低緯度に生息する種は、捕食から逃れるため、代謝率を高めている可能性を示唆している。このことは、細胞膜のリン脂質の脂肪酸組成からの予測とも一致する。
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Research Products
(1 results)