2003 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯雨林のアリ植物-アリ-カイガラムシ系の共進化に関する分子系統地理学的解析
Project/Area Number |
14540577
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
市野 隆雄 信州大学, 理学部, 教授 (20176291)
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Keywords | アリ植物 / アリ / 相利共生 / 共進化 / 分子系統 / ミトコンドリアDNA / カイガラムシ / 共進分化 |
Research Abstract |
東南アジア熱帯雨林のアリ植物、マカランガ属25種は幹内に特殊化した共生アリと共生カイガラムシを住まわせている。この三者共生系は近年、独・日・米の研究者が集中的に研究を進め、動植物共生系の共進化に関するモデル生物系として世界の注目を集めている。 今回、我々は東南アジア全域にわたる14地域から採集した合計22種約300株の植物(Macaranga属Pachystemon節)について、それに共生するアリ(Crematogaster属Decacrema亜属)及びカイガラムシ(Coccns属)の分子系統地理学的解析を行った。 mtDNAのCOI遺伝子を用いた解析では共生アリと共生カイガラムシでそれぞれ10および5の系統群(lineage)が確認された。これらのアリとカイガラムシは近縁グループからは独立した単系統群であり、しかもその分岐年代は両者とも約1000万年前以降とほぼ一致することが明らかになった。一方アリ植物マカランガはその分布が湿潤熱帯地域に強く限定されることから中新世初期(2000万年前)頃の東南アジア湿潤林発達以降に適応放散したと考えられる。以上のことから、マカランガ共生系は中新世中期以降に急激な相互適応放散により多様化したことが強く示唆された。 一方、三者の系統樹形は必ずしも一致せず、共進化の過程で寄主転換がおこってきたと推定された。しかし幹表面にワックスを分泌する起源の古い植動物には同じく起源の古いアリ種が共生し、ワックスを分泌しない派生的な(若い)植物種には攻撃性の強い系統的に新しいアリ種が共生するという一貫したパターンが検出され、DecacremaアリとPachystemon植物が互いに強く影響を与え合いながら適応放散してきたことが示された(共多様化)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Itino, T., Itioka, T., Davies, S.J.: "Coadaptation and coevolution of Macaranga trees and their symbiotic ants"In : Genes, Behaviors and Evolution of Social Insects(eds. by Kikuchi, T., Higashi, S., Azuma, N.)Hokkaido University Press, Sapporo, Japan. 283-294 (2003)
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[Publications] Itino, T.: "Coevolution of ants and plants"In : Biodiversity of a Tropical Rainforest and Plant-animal Interaction(eds.by Momose, K., Hamid, A., Roubik, D.W.)Springer, New York. (in press). (2004)
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[Publications] Quek, S.P., Davies, S.J., Itino, T., Pierce, N.E: "Codiversification in an ant-plant mutualism : stem texture and the evolution of host use in Crematogaster(Formicidae : Myrmicinae)inhabitants of Macaranga (Euphorbiacene)"Evolution. (in press). (2004)