2004 Fiscal Year Annual Research Report
世代が重複する一年草コニシキソウの繁殖特性と2つの種子散布様式の意義
Project/Area Number |
14540582
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鈴木 信彦 佐賀大学, 農学部, 教授 (80183846)
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Keywords | コニシキソウ / 分枝様式 / 匍匐型栄養成長 / 種子生産 / 種子散布 / トビイロシワアリ |
Research Abstract |
栄養成長と繁殖の同時進行の意義 栄養成長と繁殖の同時進行は、繁殖期前半に生産された種子と親株の間に光をめぐる競争をもたらす。そこで、種子繁殖期における栄養成長と繁殖の空間的、時間的パターンを解析し、成長と繁殖の同時進行の意義を解析した。栄養成長により最大quaternary shootまで分枝した。secondary shoot(SS)とtertiary shoot(TS)の数は繁殖期を通して増加し続け、total shoot lengthはprimary shoot(PS)より長かった。specific shoot lengthもlateral shoot(LS)で大きな値を示し、効率よく伸長した。単位shoot lengthあたりの節数はSSの方がPSより多かった。各節には花芽と側芽に分化する2つの分裂組織が形成された。reproductive meristem(RM)の数は、TSでもっとも多く、RMの96%はLSに形成された。ほとんどすべての節で、RMは花を咲かせ、自家和合性であるため、ほとんどすべての花が結実した。したがって、繁殖期を通しての分枝による栄養成長は種子生産増大に大きく貢献していた。 野外におけるトビイロシワアリによる種子運搬頻度 野外におけるトビイロシワアリによる種子運搬頻度の季節変化を明らかにするため、巣口でアリの出入り、食料およびコニシキソウ種子の搬入・搬出頻度を調べた。その結果、自動種子散布が生じる夏には、種子運搬はみられなかった。一方、10月には高頻度で種子運搬がみられ、全食料搬入の約60%がコニシキソウの種子であった。また、搬入した種子の44%は巣から搬出されたと推定された。したがって、秋の種子はトビイロシワアリによって運搬され、食害される割合も低く、効率よい種子散布が達成されていると考えられた。
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Research Products
(6 results)