2002 Fiscal Year Annual Research Report
樹幹枝直径変動の多点同時計測とシミュレーション計算による幹枝間の水分配様式の把握
Project/Area Number |
14540585
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
依田 清胤 石巻専修大学, 理工学部, 助教授 (30254832)
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Keywords | 直径変動 / 水分配 / コンピュータシミュレーション |
Research Abstract |
本研究の一部はモンペリエ(フランス南東部)の北側約10kmに位置するCIRAD試験場で実施される。この試験場には列状のJuglans植栽区と帯状のコムギ栽培区が交互に配置された試験区が設定されており、Juglansとコムギとの相互作用の解析に基づくアグロフォレストリー研究のプロジェクトが実施されている。現在はコムギの収量に対するJuglans樹冠の被陰の影響および根系における土壌水分に対する両種の競合作用の観点から解析が進められている。 本研究では、おもにJuglansについて根-幹-枝における水分動態を把握することが目的となる。Juglansは水平根と垂直根からなる根系を構築する。当試験場におけるこれまでの研究から、これら二種類の根は相互に異なった働きをし、その内部では年間あるいは昼夜での土壌含水量の変動に対応して複雑な水分状態を示すことが示唆されている。また試験場内の複数の個体に関しては、すでに地上部の幹、枝、葉の分布状態に関する外部形態の計測が実施され、これらの形質をパラメータとするコンピュータによる樹形再構築プログラムの開発が進められている。さらに試験区の土壌含水量の変動に関する資料や気候学的データも蓄積されている。そのため地上部のみならず地下部も含めた樹木個体全体の水分動態を総合的に解析することが可能である。 この試験場において2002年11-12月にJuglansの生育状態(樹高、幹直径、枝ぶりほか)を調べた。また試験的に根の一部を掘り出し根系の発達状態を調査、確認した。以上の予備調査に基づき、直径計測対象個体を選出し、計測装置の取り付け部位(枝、幹の樹冠直下と基部、水平および垂直根)を特定するとともに、今後の計測に関する問題点・改良点の検討作業を行った。今後は葉の展開が終了する2003年6月頃をまって直径の多点同時計測を実施する予定である。
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