2002 Fiscal Year Annual Research Report
マクロな時間・空間スケールにおける生物多様性と生態系機能の関係の理論的研究
Project/Area Number |
14540587
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
谷内 茂雄 総合地球環境学研究所, 研究部, 助教授 (00335209)
|
Keywords | 国際情報交換 / フランス / 生態系機能 / 生物多様性 / 時間・空間スケール / モデル |
Research Abstract |
共同研究者Michel Loreau(フランス)およびEcole Normale Superieure(フランス)とCenter for Population Biology, Imperial College, Silwood Park(イギリス)の研究者との集中的なdiscussionによって、以下の点があきらかになった。 1.まず、大きな空間スケールでの生物多様性の効果として、メタコミュニティのような空間的に応答が同期しない集団構造が、環境の変動に対して、長時間スケールにおける生物多様性効果である「保険仮説」と同じような効果を、系全体としてもたらしうる可能性が指摘された(「空間的保険仮説」)。この可能性については、すでに共同研究者が理論的研究を進めている。 2.また、α多様性が空間的に小さなスケール(局所的)において、生態系機能を高める効果を持つのに対し、β多様性は、空間的に不均一性な環境勾配に対して、α多様性の構成を空間的にうまくチューニングする効果が期待でき、その結果、大きな空間スケール全体としての生態系機能の効果を増す可能性が指摘できた。この可能性については、今後モデルをつかった理論的検討を進めることにしている。 3.時間スケールと空間スケールの2次元の表を作成して、スケールごとに生物多様性の効果を整理し、生物多様性とその効果の全体の関係を明らかにする重要性が指摘された。 4.3に関係して、小さな時空間スケールでの生物多様性効果についても、相補性効果と選択効果という2つの多様性効果の影響をみるモデルの計算を進め、統計的な効果の分割に関する理論との対応を検討した。
|