2002 Fiscal Year Annual Research Report
体外受精系を用いた高等植物の受精および初期発生機構の顕微分子細胞学的解析
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14540589
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東山 哲也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00313205)
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Keywords | 助細胞 / 花粉管誘引物質 / 重複受精 / 動態解析 / 顕微分子細胞学的解析 / 体外受精 / 植物 / トレニア |
Research Abstract |
(1)花粉管誘導機構の解析 助細胞が分泌するガイダンス分子の同定に向けて、誘引シグナルの化学的性質を明らかにすることを目指した。ガイダンス分子は、助細胞の成熟に伴い線形装置が明確になる頃から分泌されることが示唆される。従来提唱されていたカルシウムイオンは、少なくとも単独で働くガイダンス分子ではないことが示唆された。また、シダの精子の誘引物質であるリンゴ酸などもガイダンス分子ではないことが示唆された。また、近縁のアゼトウガラシ属アゼトウガラシを用いることによって、トレニアの花粉管はトレニアの雌性配偶体にのみ誘引され、アゼトウガラシの花粉管はアゼトウガラシの雌性配偶体にのみ誘引されることが明らかとなり、誘引活性に種特異性が存在することが明確に示された。さらに、花粉管を誘引している胚珠をマイクロマニピュレーションにより移動したところ、花粉管が雌性配偶体を追尾することがわかった。花粉管の前方30μm程度に雌性配偶体を置くと、花粉管は必ず誘引された。このことは30μm程度の距離であればガイダンスシグナルは数分で形成されること、誘引されている花粉管はガイダンスシグナルに対する反応性を維持しつづけることを示しており、マイクロピペット等によるアッセイが可能であることを示唆している。 (2)重複受精機構の解析 シグマ光機(株)と共同でタイムラプスシステムを構築し、雌性配偶体に影響なく受精過程を連続的に蛍光観察できるようになった。また、雌性配偶体ではたらく可能性のあるプロモーターにGFPをつないだコンストラクトを作製するとともに、マイクロピペットによる遺伝子導入系を開発した。中央細胞のミトコンドリア等の可視化に成功し、受精過程の動態解析に道を拓いた。 (3)個々の胚嚢細胞のEST解析 細胞の回収・培養条件を決定するとともに、aRNA増幅、胚珠cDNAライブラリーの構築を進めた。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Higashiyama T.: "The synergid cell : attractor and acceptor of the pollen tube for double fertilization"Journal of Plant Research. 115. 149-160 (2002)
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[Publications] Nishimura Y., Misumi O., Kato K., Inada N., Higashiyama T., Momoyama Y., Kuroiwa T.: "An mt^+ gamete-specific nuclease that targets mt^-chloroplasts during sexual reproduction in C. reinhardtii"Genes and Development. 16. 1116-1128 (2002)
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[Publications] Kuroiwa H., Nishimura Y., Higashiyama T., Kuroiwa T.: "Pelargonium embryogenesis : cytological investigations of organelles in early embryogenesis from the egg to the two-celled embryo"Sexual Plant Reproduction. 15. 1-12 (2002)
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[Publications] Higashiyama T., Kuroiwa H.Kuroiwa T.: "Pollen tube guidance : beacons from the female gametophyte"Current Opinion in Plant Biology. 6. 36-41 (2003)
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[Publications] Miyagishima S., Nishida K., Mori T., Matsuzaki M., Higashiyama T., Kuroiwa H., Kuroiwa T.: "A plant-specific dynamin-related protein forms a ring at the chloroplast division site"Plant Cell. 15. 655-665 (2003)
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[Publications] 東山哲也: "植物の受精のしくみを解明"遺伝. 56. 20-21 (2002)
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[Publications] 東山哲也: "受精のガイダンス機構"蛋白質核酸酵素. 47. 1645-1650 (2002)
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[Publications] 東山哲也, 黒岩晴子: "受精とオルガネラ"植物細胞工学. 17. 150-154 (2002)
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[Publications] 東山哲也: "トレニア"細胞工学. 21. 1530-1531 (2002)