2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14540613
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
溝口 明 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60183109)
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Keywords | カイコ / 変態 / 前胸腺刺激ホルモン / 前胸腺 / エクジステロイド / 器官培養 / 幼若ホルモン / ポジティブフィードバック |
Research Abstract |
1.5齢脱皮直後の前胸腺はエクジソン分泌活性を欠くが、脱皮後2日目頃から漸次的に活性化する。5齢初期の血中には低濃度の前胸腺刺激ホルモン(PTTH)が定常的に存在するため、このPTTHが前胸腺活性化に関与する可能性を調べる目的で、前胸腺の長期体外培養実験を行なった。5齢0日から培養した前胸腺は培養開始後24時間は分泌活性を持たないが、その後は日毎にエクジソン分泌量が増加した。この時、PTTHの添加は活性化の時期にも活性化の強さにも影響しなかった。この結果は、5齢初期の前胸腺は自律的に活性化し、PTTHは前胸腺の初期活性化に関与しないことを示す。 2.5齢脱皮前日(4齢4日)に培養を開始した前胸腺は、最初の24時間では少量のエクジソンを分泌するが翌日は分泌能がほぼなくなり、その後は徐々に分泌能を回復した。しかし培養開始をさらに早めると分泌活性の低下が認められなくなる。そこで、4齢3日の血中エクジステロイドの上昇が前胸腺の活性を低下させる可能性を調べるため、4齢2日から培養した前胸腺に翌日20ヒドロキシエクジソンを投与したところ、前胸腺活性の一過的な低下が起こった。従って、5齢初期前胸腺の不活性はエクジステロイドによるネガティブフィードバック調節に起因すると結論された。 3.5齢0日の前胸腺をアラタ体と共培養すると、前胸腺の自律的活性化は抑制され、アラタ体を除去すると抑制は解除された。この結果は、5齢初期に血中に存在する幼若ホルモン(JH)が前胸腺の自律的活性化を抑制していることを示唆する。 4.前年度および今年度の実験に基づき、カイコの5齢期の脳-前胸腺軸の活性化の機構が明らかになった。その中核は、血中JH濃度の低下に伴う前胸腺の自律的活性化と脳と前胸腺の間のポジティブフィードバックによる相互的活性増幅機構である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Akira Mizogucthi: "Basic pattern of fluctuation in hemolymph PTTH titers during larval-pupal and pupal-adult development of the silkworm, Bombyx mori"General and Comparative Endocrinology. 127. 181-189 (2002)
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[Publications] Skarlatos G.Dedos: "Induction of dauer pupae by fenoxycarb in the silkworm, Bombyx mori"Journal of Insect Physiology. 48. 857-865 (2002)
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[Publications] Akiko Suenobu: "Relationship between Firing Activity of Bombyxin-producing Neurosecretory Cells and Hemolymph Bombyxin Titer in the Silkworm Bombyx mori"General and Comparative Endocrinology. (in press). (2004)