2002 Fiscal Year Annual Research Report
卵成熟におけるステイロドホルモン細胞膜受容体の同定と細胞内情報伝達機構の解明
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14540620
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
吉国 通庸 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (50210662)
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Keywords | ステロイドホルモン / 細胞膜受容体 / GTP結合蛋白質 / 卵成熟 / メダカ / 卵母細胞 / 情報伝達 |
Research Abstract |
本年度は、本研究課題の2年間の内の初年度に当り、細胞膜ステロイド受容体の精製と、本受容体の情報伝達経路として推定しているG蛋白質作動直後の、情報伝達初期過程における蛋白質リン酸化の変動解析の為の2次元電気泳動ゲルの蓄積を予定していた。しかし、米国の研究者により、細胞膜ステロイド受容体候補としての可能性の高い蛋白質遺伝子がクローニングされたので、急遽、同遺伝子のメダカでのホモログのクローニングを行なった。得られた遺伝子は、352アミノ酸をコードし推定分子量40,686を持ち、立体構造予測プログラムSOSUIでの解析により、G蛋白質結合型受容体の特徴である細胞膜7回貫通型の構造を持つ事が判明した。得られた遺伝子配列を基に行なったデータベース解析により、ヒト、マウス、ラットなどの哺乳類では、本遺伝子のホモログと思われるα,β,γの3種の遺伝子が存在することが明らかとなった。このことから逆に、メダカのβ,γを探索する必要が生じた。2次元電気泳動ゲルは、種々の等電点範囲のものを合わせて約100枚程度のゲルを蓄積することが出来た。 次年度では、本遺伝子を大腸菌、ヒト培養細胞等で発現させての、ホルモン結合実験、G蛋白質の活性化、アンチセンスRNAによる機能阻害実験などにより、ホルモン受容体であることを証明すると同時に、β,γ遺伝子の探索を行なう。一方、G蛋白質活性化後にリン酸化状態が速やかに変動する卵蛋白質の解析を進め、電気泳動上での主要な蛋白スポットを特定した後、蓄積中の電気泳動ゲルより切出し質量分析によりアミノ酸配列解析を行ない蛋白質を同定する。同定情報を基に、卵成熟におけるステロイドホルモン作用の情報伝達経路モデルを構築する。
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