2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540648
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
横田 昌嗣 琉球大学, 理学部, 教授 (90166885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
傳田 哲郎 琉球大学, 理学部, 助教授 (50284948)
|
Keywords | 中琉球 / 遺存固有 / ヤクシマスミレ / サツマイナモリ / アマミイナモリ / ハマヒサカキ / マメヒサカキ / ツルカタヒバ |
Research Abstract |
中琉球の遺存固有と思われる幾つかの分類群について分子系統学的解析をおこなった。 スミレ科ヤクシマスミレ類では、沖縄島産ヤクシマスミレと石垣島・西表島産ヤエヤマスミレからなる系統(沖縄・八重山グループ)と、奄美諸島・屋久島産ヤクシマスミレからなる系統(奄美・屋久島グループ)の分化が、吐〓喇海峡や慶良間海峡が成立する以前である約170万年前の更新世前期に起こったことが示唆された。外群の染色体基本数がx=10であるのに対し、分子系統樹上でミヤマスミレ節の基部に位置するヤクシマスミレ類やアマミスミレの染色体基本数はx=11、派生的なクレードに位置するミヤマスミレ節の他の分類群ではx=12であることから、祖先的な染色体数x=11を持つグループが琉球列島に遺存的に存在し、この中からx=12を持つ分類群が派生してきたものと推定される。 アカネ科サツマイナモリの変種であり中琉球固有のアマミイナモリでは、アマミイナモリが基本変種サツマイナモリとは独立のクラスターを形成することが明かとなった。アマミイナモリは中琉球において生じた倍数化によって形成された新固有ではなく、サツマイナモリとは独立に琉球列島に侵入して取り残された、遺存的な分類群である可能性が示された。 また、ツバキ科ハマヒサカキの変種で中琉球に固有のマメヒサカキは山地雲霧林のみに生育し、形態的にも基本変種と大きく異なることから、系統的に独立した群である可能性も考えられたが、分子系統学的解析の結果からは、マメヒサカキがハマヒサカキの中から単系統的に派生した群である可能性が示唆された。 日本では沖縄島北部にのみ産するイワヒバ科ツルカタヒバと、その異名とされることもある沖縄島固有のコクラマゴケ、沖縄島から近年日本新産として報告されたミタニクラマゴケの形態を観察した。その結果、ミタニクラマゴケはコクラマゴケにすぎないこと、ツルカタヒバとコクラマゴケは連続的に変異し、現段階では区別できないことがわかった。
|
Research Products
(3 results)