2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540652
|
Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
林 一彦 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (60121753)
|
Keywords | matK遺伝子 / ITS領域 / ユリ属近縁属 / 分子系統樹 / 一回繋殖型 / エゾスカシユリ / スカシユリ / Lilium属 |
Research Abstract |
平成16年度は、matK遺伝子の分子系統樹とrDNAのITS領域の塩基配列から作製された分子系統樹から、ユリ属近縁属間の生活史の分化と系統分化を分子系統樹にオーバーレイする事によって考察し、国際園芸学会シンポジウム2004年(新潟)において発表した。ユリ亜科(Lilioideae)ユリ連(Lilieae)を構成する数属(Tamura 1998)は、今回の分子系統学の知見から分化の方向性が明らかになった。Notholirion属からCardiocrinum属が分かれ、さらにFritillaria属が分かれ、その後Nomocharis属とLilium属に分かれることが判明し、さらに、Nomocharis属はLilium属の中に含まれることがわかった。それとともに、Notholirion属とCardiocrinum属は一回繁殖型で生殖年齢に達するまでに8-10年の年月を必要とする植物であることが判明した。また、ユリ属内に於てはスカシユリとエゾスカシユリは、発芽様式が、前者が地上発芽型であり後者が地下発芽型であり、形態的にも地表面の茎に前者が開出毛をもつのに対し後者は無毛であること、さらに染色体の仁染色体の構成も異なる上にmatKとITSの塩基配列も異なる事から別種と判断した。また、近縁種との関連においてエゾスカシユリから、南ヨーロッパに分布するL.bulbiferum,日本本土に自生するスカシユリと分化したことの知見を得た。
|