2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540655
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
武田 正倫 国立科学博物館, 動物研究部, 部長 (20000143)
|
Keywords | 岩石穿孔性 / テッポウエビ / 琉球列島 / ライブロック |
Research Abstract |
平成17年度(最終年度)においては、奄美大島南部および沖縄本島中北部の浅海においてライブロックの採集を行った。とくに(財)名古屋港水族館の堀井直二郎技官はエビ類が穿孔しているライブロックの発見に巧みで、現地で多くのエビ類標本を得るとともに、岩石を国立科学博物館に持ち帰った。小型の岩石はカッターで切り、内部でどのように孔道が展開されているか調べ始めたが、大型岩石はカッター鉄板を新たに購入しなければならず、現在はまだ完了していない。現在まで判明したことは、少なくとも、岩石の表面に開いた孔道の穴は小さいが、内部は広く、エビがゆったりと行動できる広さになっていることである。孔道の長さはさまざまで、必ずしも盲端に終わっているケースばかりでなく、他の孔道と連結し、したがった全体として複雑な形状になっていることもある。これは,1本の孔道に必ずしも1ペアですんでいるのではないということである。エビがどのように穿孔するのかに関しては直接の観察はできなかったが,エビのどちらか片方、大きなはさみの可動指は先端がハンマー状に膨大しており,その特殊な形の可動指を使って孔道を掘り進め、また太さを広げていることは容易に推察された。岩石の大小によって、エビの大小、孔道の長短、複雑さがどのように異なるのか、大型岩石を切ってから比較検討する予定であるが、採集できたエビはいずれも十分に成長した個体ばかりで、現在まで幼体がどのように孔道を掘り始めるのか、既存の孔道を利用するのか不明で、本研究内で明らかにすることはできなかった。
|