2003 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア人および縄文人の起源に関する形質人類学的研究
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14540664
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70209617)
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Keywords | 歯 / 東南アジア / バンチェン / 縄文人 / 混血 / シノドント / スンダドント / 新石器時代 |
Research Abstract |
本年度はハワイ大学に出張し、Pietrusewsky教授のもとに保管されているタイのバンチェン遺跡から出土した新石器時代末から初期鉄器時代の人骨約50体の頭骨および歯の形態学的データを採取した。また同じくハワイ大学に保管されているカンボジアのアンコールボレ遺跡の青銅器時代人骨の所見も得ることができた。バンチェン遺跡の資料を含めた歯の計測・非計測的形質の統計学的分析の結果、同じくタイのバンカオ遺跡の新石器時代人とともに、計測的形質は現代および新石器時代の華南の中国人と共通しており、日本の縄文人とは異なっていた。一方、非計測的形質ではいわゆるシノドント型集団とスンダドント型集団の中間的特徴をもち、縄文人とも共通していた。東アジアおよび東南アジア全体を見渡した先史時代と現代の集団関係から解釈すると、いわゆるスンダドント型歯列を純粋に保持している集団は、計測的特徴を兼ね併せてみると、アンダマン諸島人、メラネシア人、オーストラリア先住民、ホアビン文化期および新石器時代初頭のインドシナ半島の先住民のみが該当し、東南アジアの新石器時代後半は、中国南部からのシノドント型集団の拡散の遺伝的影響を受け始める転換期となる時代であると解釈できた。その影響は計測的形質に大きく現れ、先のタイのバンチェン遺跡やバンカオ遺跡に著実であった。非計測的形質にも、これらの集団がシノドントとスンダドント型歯列の中間形態をもつことで北方からの遺伝的影響が示唆された。青銅器から鉄器時代では中国南部からの集団の移住は一層明白になり、ベトナムのドンソン文化の人骨資料や、東南アジアの島嶼部にもその傾向が認められた。日本人の起源については、先住民と渡来人の混血から成ったとする二重構造論が支持されているが、この現象は日本に限らず、広く東南アジア全体にも当てはまることが明らかであり、Bellwoodらが主張する中国南部からの拡散混血説を強く支持する結果が得られた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 松村博文: "渡来系弥生人の拡散と続縄文時代人"国立歴史民俗博物館研究報告. 107. 199-216 (2003)
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[Publications] Matsumura H., Hudson M: "Dental perspectives on the population history of Southeast Asia"American Journal of Physical Anthropology. (発売予定).
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[Publications] Matsumura H., Surin P: "Morphometric analysis of the Late Pleistocene human remains from Moh Khew Cave in Thailand"Homo. (発売予定).