2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550020
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
白石 賢二 筑波大学, 物理学系, 助教授 (20334039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植松 真司 (株)日本電子電話, 物性科学基礎研究所, 主任研究員
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Keywords | 第一原理計算 / シリコン / 酸化膜 / 界面 / 拡散 / プロセスシミュレーション / 歪み / 欠陥 |
Research Abstract |
今年度はシリコン/熱酸化膜界面の拡散現象の素過程を議論するために以下の点に焦点を絞って検討を行った。 (1)シリコン/酸化膜界面におけるシリコン原子の安定及び準安定サイトの探索、(2)酸化膜中での拡散に関する実験データの揃っているボロン原子の拡散、の2点である。以下に今年度の結果を箇条書きで示す。 (1)シリコン/酸化膜界面においては、シリコン側、酸化膜側ともに、比較的安定な準安定サイトが界面付近に見いだされた。これは、酸化によって出現した余剰シリコン原子が酸化膜側にも拡散する可能性を示している。この結果は我々が提案している「シリコン放出モデル」を定性的にサポートするものである。これらの結果は2003年春の応用物理学会で発表した。 (2)ボロン原子は酸化膜中では、単独で拡散するよりも、酸素及び、シリコンの過剰原子と結合することによって比較的低い活性化エネルギーで拡散できることを示した。これらの結果は実験で得られる低い活性化エネルギーを再現するものである。本結果はPhysical Review Letter誌に発表した。酸化膜中でのボロン原子の安定構造はシリコン置換サイトと考えられている。この意味でボロン原子の酸化膜中での拡散はシリコン原子の自己拡散とも密接に関連があると考えられる。実際シリコン原子の自己拡散の活性化エネルギーがシリコン過剰条件で低下することが報告されていることを考慮すると、シリコン過剰原子のアシストによりシリコン原子の自己拡散が引き起こされている可能性が示唆される。 以上の結果を総合すると、界面から放出されたシリコン原子はまず、比較的安定な界面付近の準安定サイトにトラップされ、その後、さらに放出されてきたシリコン過剰原子と結合することによって比較的低い活性化エネルギーで拡散している可能性が示唆される。今後は上記の過程に関する原子レベルの検討を進める予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 植松真司, 影島博之, 白石賢二: "Interfacial silicon emission in dry oxidation -the effect of H and Cl"Japanese Journal of Applied Physics Part I. 41・4B. 2455-2458 (2002)
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[Publications] 宮城島規, 岡島康, 小山紀久, 白石賢二, 武田京三郎, 大野隆央, 伊藤智徳: "Energetics in the growth mechanism of semiconductor heteroepitaxy"Journal of Crystal Growth. 237. 1599-1602 (2002)
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[Publications] 白石賢二, 小山紀久, 岡島康, 宮城島規, 武田京三郎, 山口浩司, 伊藤智徳, 大野隆央: "First principles and macroscopic theories of semiconductor epitaxial growth"Journal of Crystal Growth. 237. 206-211 (2002)
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[Publications] 植松真司, 影島博之, 白石賢二: "Microscopic mechanism of thermal silicon oxide growth"Computational Material Science. 24・1-2. 229-234 (2002)
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[Publications] 小野行徳, 山崎謙治, 永瀬雅夫, 堀口誠二, 白石賢二, 高橋庸夫: "Fabrication of single-electron transistors and circuits using SOIs"Solid State Electronics. 46・11. 1723-1727 (2002)
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[Publications] 大谷実, 白石賢二, 押山淳: "Mechanisms of diffusion of boron impurities in SiO_2"Physical Review Letters. 90・7. article number 075901 (2003)