2002 Fiscal Year Annual Research Report
探針電界増強効果による超高感度ナノスケール分光法の研究
Project/Area Number |
14550022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
目良 裕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40219960)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 電界増強効果 / 表面プラズモン / ナノスペクトロスコピー / 探針 / 透過電子顕微鏡 / 自己拡散 / GaN |
Research Abstract |
表面プラズモンによって金属表面の近接場電界強度が大きく増大される表面電界増強効果は、nmオーダーの金属微粒子で顕著な効果が見られることが知られている。そこで本研究では、光照射下でのSTM探針直下の局所電界増強効果の性質を詳しく調べ、その結果をもとに、超高感度なナノスケール分光測定法を開発し、その有効性を実証することを目的としている。 今年度は以下のことを行った。 ・現有の超高真空STMの限られたポートに装着するため、一つのポートに装着可能で、複数の金属を真空を破ることなく連続して蒸着可能な蒸着源を設計、製作し、蒸着可能であることを確かめた。 ・光増強効果の振る舞いを明らかにする目的で、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて光吸収熱膨張分光を行うためには、トンネル電流アンプとして十分帯域の広いものを用いなければならない。予備実験の結果、そのような機器の組み合わせでは、現有のSTMコントローラーの安定性は不充分であることが明らかになった。そこで、フィードバックの不安定性が少ない、高速デジタルシグナルプロセッサ(DSP)ボードを用いたデジタルSTMコントローラーを組み立て、調整を行った。 ・STMの探針直下ではトンネル電流が非常に局所的に流れることから、高い密度での電子励起が起きていると考えられる。このような状況での試料の振舞いを調べる目的で、増強効果を調べる系の一つである窒化ガリウム結晶の、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、非常に高密度な電子照射下において、顕著な自己拡散が促進されることを見出した。詳しく調べた結果、この拡散促進の原因は温度上昇や単純なはじき出しでは説明できず、電子励起によって促進が起きていることが結論された。
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