2002 Fiscal Year Annual Research Report
集束イオンビーム走査による試料表面の二次電子像コントラストに関する研究
Project/Area Number |
14550026
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大宅 薫 徳島大学, 工学部, 教授 (10108855)
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Keywords | 集束イオンビーム(FIB) / 走査イオン顕微鏡(SIM) / 走査電子顕微鏡(SEM) / 二次電子放出 / スパッタリング / モンテカルロシミュレーション |
Research Abstract |
Ga集束イオンビーム(FIB)を用いた走査イオン顕微鏡(SIM)の像コントラストは、走査電子顕微鏡(SEM)の場合と著しく異なることがしばしば観測されている。本研究では、SHM像とSEM像の違いの原因を明らかにする目的で、電子衝撃による二次電子放出に用いられるダイレクトシミュレーションモデルと、部分波展開法を用いて計算したGaイオンの固体内電子励起断面積を用いた計算機シミュレーションコードを開発した。 開発したコードを用いたこれまでのシミュレーションで、低Z(原子番号)材では入射イオンだけでなく、イオンとの弾性衝突によってエネルギーを与えられた固体内反跳原子も二次電子励起に寄与すること、また高Z材において、固体内での頻繁な弾性衝突によるエネルギー損失が入射イオンの二次電子生成を抑制することなどが分かった。これらの効果により、試料元素のZが大きくなると二次電子収量が減少する、SEMとは逆のSIM像の特徴を説明することができた。さらに、放出された二次電子の固体内励起位置分布の解析から、SIM像とSEM像の情報深さの違いと横方向の広がりの違いを明らかにした。特に、二次電子励起が浅く広がりの小さいSIMが、SEMより表面に敏感で、境界のはっきりした像が得られることを示した。これらは、経験的観測事実と一致する。また、電子入射における後方散乱電子(BSE)やGaイオン入射における低Z試料中の反跳原子による二次電子励起が、二次電子励起位置の横方向の広がりを増加することなどが分かった。 これらの成果は、Journal of Electron Microscopy、Surface and Coatings Technology、Nucler Instruments and Methods Bなどの国際的論文誌に発表しており、さらに、2編の論文を投稿中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Ishitani, Y.Madokoro, M.Nakagawa, K.Ohya: "Origins of material contrast in scanning ion microscoPe images"Journal of Electron Microscopy. Vol.51, No.4. 207-213 (2002)
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[Publications] K.Ohya, T.Ishitani: "Target material ; dependence of secondary electron images induced by focused ion beams"Surface and Coatings Technology. Vol.158-159. 8-13 (2002)
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[Publications] K.Ohya: "Monte Carlo simulation of heavy ion induced kinetic electron emission from an Al surface"Nuclear Instrments and Methods in Physics Research B. Vol.203-204. 82-85 (2003)
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[Publications] K.Ohya: "Dynamic behavior of sputtering of implanted projectiles and target atoms under high fluence gallium ion bombardment"Applied Surface Science. Vol.203-20. 82-85 (2003)
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[Publications] K.Ohya, T.Ishitani: "Simulation study of secondary electron images in scanning ion microscopy"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. (in press). (2003)
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[Publications] K.Ohya: "Comparative study of target atomic number dependence of ion induced and electron induced secondary electron emissoin"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. (in press). (2003)