2003 Fiscal Year Annual Research Report
細束イオンビームによる高感度正負二次イオン像同時観察法の研究
Project/Area Number |
14550028
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
関 節子 拓殖大学, 工学部, 教授 (40196944)
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Keywords | 正負二次イオン同時検出 / 二次イオン像 / 液体金属イオン源 / 集束イオンビーム / SIMS / FIB / LMIS / イオン注入 |
Research Abstract |
一次イオンを試料上に走査して,試料から放出される二次イオンを正負に分けて同時に全イオン像として得ることが出来た。像質は,分解能と感度の点からまだベストのレベルではないので,いくつかの改良を行った。ひとつは,走査用の一次イオンとして用いている液体金属イオン源の改良である。形状やフィラメントと液体金属のぬれ性等について改良を図った。これにより,液体金属イオン源としての安定性が増した。また,液体金属イオン源(LMIS)から試料台に至る一次ビーム系のアライメントは重要であるが,その調整法は容易ではない。そこで,はじめにレーザーを用いて一次近似的に調整しその後,真空状態でビームを出してイオン像をチェックしながらレンズ系,絞り等の調整をするようにした。これに関してはまだ改良の余地があると考えられる。また,二次イオン引き出し電極,イオン-電子コンバータの形状,位置,取り付け角度等の調整,さらに,各種電極への印加電圧の調整などを行った。これらの諸調整により改善されてきている。 また,一次イオンに二次イオン化効率の低いイオン種,たとえばガリウム,を用いたときには十分な感度のイオン像を得るのが困難になるために,SIMS測定の感度を上げるという目的で,増感物質の供給機構を備えた。その基礎実験として,酸素及びセシウムをあらかじめ試料にイオン注入してからガリウム液体金属イオンで走査してイオン像を得ることにより,正イオン像及び負イオン像の感度が上がることを確認した。この手法と,試料の傾斜研磨法を併用することは有用であった。とくにこれまで表面に凹凸のある多層膜試料は,SIMSの深さ方向濃度分布の測定は困難であったが,この二つの手法を用いることによって深さ方向の元素の分布状態を明確にすることが出来た。すなわち,深さ方向分布測定に代わる手法といえることが確認できた。
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[Publications] S.Seki, H.Tamura, W.Saitoh: "Ion image using in-situ implantation of Cs+ and O2+ ions"Appl.Surf.Sci.. 203-204. 832-835 (2003)
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[Publications] S.Seki, H.Tamura, T.Kanoh, T.Satoh: "Development of an instrument for simultaneous detection of positive and negative scanning ion images"Appl.Surf.Sci.. (2004)
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[Publications] S.Seki, H.Tamura, S.Horita, N.Ito: "Enhanced scanning ion microprobe image analysis for rough sutface sample as an alternative to SIMS depth profiling"Surf.Interface Anal.. (2004)