2002 Fiscal Year Annual Research Report
半導体におけるスピン光学効果と光デバイス応用の研究
Project/Area Number |
14550044
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
安藤 弘明 甲南大学, 理工学部, 教授 (50330402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 玉緒 甲南大学, 理工学部, 講師 (80283034)
市田 正夫 甲南大学, 理工学部, 講師 (30260590)
水野 健一 甲南大学, 理工学部, 教授 (80068139)
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Keywords | スピン / 半導体 / レーザ |
Research Abstract |
初年度は、GaAsにおける電子スピンの緩和特性を中心に研究を展開した。また並行してカーボンナノチューブ等の新半導体材料における光学特性の評価を行ない、スピン光学効果を調べるための基礎データを蓄積した。 1.レーザ発振は非線形現象の典型であり、スピン偏極の効果は発振しきい値近傍での光出力の立ち上がり特性に強く反映される。GaAs活性層が対向するAlGaAs/AlAs分布型ブラッグ光反射器で挟まれた構造の面発光レーザを、ピコ秒の円偏光パルスを用いた光励起法により電子スピンを偏極させた状態で発振させ、レーザ発振の立ち上がり特性を右回りと左回りの円偏光成分に分離して評価した。その結果、主要な円偏光成分は急峻な発振立ち上がりを示すが、これと直交する逆の円偏光成分は極めて緩やかに立ち上がることが明らかになった。 2.レーザ発振光の時間分解測定を行ない、レーザ発振の立ち上がりおよび緩和における挙動を調べた。パルス励起時のレーザ発振は数ピコ秒で立ち上がり、数十ピコ秒で緩和するため、この時間分解測定には1ピコ秒程度の分解能が必要となる。実験では面発光レーザからの発振光と励起光の一部を非線形材料中で混合し、発生した和周波数の光を測定することによって発振光と励起光の相関を評価する、所謂、和周波の測定系を構築し、1ピコ秒程度の分解能を実現するとともに、パルス発振の時間的挙動を明らかにした。その結果、逆の円偏光成分は、強度が弱いにもかかわらず、主要な円偏光成分と同一の時間発展をすることが明らかになった。 3.電子のスピン自由度を考慮して光増幅過程のモデル化を行うとともに、レーザレート方程式を用いて発振偏光特性の理論解析を行ない、上記1,2の実験と比較した。その結果、GaAs活性層においてスピン偏極を担っているのは伝導帯の電子であること、価電子帯ではスピン緩和が速いためスピン偏極がほとんど形成されないことなど、スピン緩和に関する新しい知見を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Ichida, et al.: "Ultrafast relaxation dynamics of photoexcited states on semiconducting single-walled carbon"Physica B. 323. 237-238 (2002)
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[Publications] M.Ichida, et al.: "Coulomb effects on the fundamental optical transition in semiconducting single-walled carbon"Phys. Rev. B. 65. 241407(R)-241410(R) (2002)
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[Publications] T.Aoki, et al.: "Size distribution of aromatic microcrystallites embedded in PMMA nonlinear optics"Nonlinear Optics. (To be published).