2003 Fiscal Year Annual Research Report
半導体におけるスピン光学効果と光デバイス応用の研究
Project/Area Number |
14550044
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
安藤 弘明 甲南大学, 理工学部, 教授 (50330402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 玉緒 甲南大学, 理工学部, 講師 (80283034)
市田 正夫 甲南大学, 理工学部, 講師 (30260590)
水野 健一 甲南大学, 理工学部, 教授 (80068139)
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Keywords | スピン / 半導体 / レーザ / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
今年度は、低次元物質における磁場効果を重点的に探究した。具体的には、半導体カーボンナノチューブにおける磁気光学特性の評価を行い、ゼーマン効果およびアハラノフ・ボーム(AB)効果に起因する電子エネルギー準位の磁場分裂に伴う光吸収の変化を初めて観測した。 磁気光学効果は、磁場の印加(摂動)でもたらされた電子の状態変化が光吸収・発光等の光学特性に反映される効果であり、ナノ構造における電子スピンの状態および量子閉じ込めの様相を調べ、さらには閉じ込めモデルの妥当性を吟味する上で有用な手段を提供する。ナノチューブの磁気光学効果の測定ではチューブの向きを揃えることが不可欠であるが、ナノチューブを薄膜化し、これを一方向に引き伸ばすという方法を試みて配向度の高い試料を実現した。この配向薄膜試料を用いて10Tの高磁場下で光吸収スペクトルの偏光依存性を測定した。その結果、a)チューブの軸方向に印加磁場が平行な場合、半導体型の単層カーボンナノチューブの基礎吸収端に対応する0.8eVの吸収ピーク近傍で、磁場分裂に伴う吸収スペクトルの変化が観測される b)軸に対して磁場を垂直に印加した場合は、吸収スペクトルに変化は見られない など、ナノチューブの次元性を反映した磁気光学効果の特徴を明らかにした。さらに、カーボンナノチューブ中の電子状態をモデル化するとともに、アハラノフ・ボーム(AB)効果およびスピン・角運動量に起因するゼーマン効果を考慮した理論解析を行い、光吸収スペクトルの変化が磁場印加に伴う電子エネルギー状態の分裂によって説明できることを明らかにした。これら一連の結果は、これまでアプリオリに仮定されていたナノチューブにおける電子の閉じ込めモデルの妥当性を実証するものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Gotoh, et al.: "Exciton Spin Relaxation Properties in Zero Dimensional Semiconductor Quantum Dots"Jpn.J.Appl.Phys.. 42. 3340-3349 (2003)
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[Publications] H.Gotoh, et al.: "Electric-field-induced Anisotropy of Excitonic Optical Properties in Semiconductor Quantum Dots"J.Appl.Phys.. 94. 342-347 (2003)