2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村重 淳 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (40302749)
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Keywords | 精度保障付き数値計算 / 特異積分方程式 / 区間解析 |
Research Abstract |
弾性体理論,流体力学,音響学,電磁気学など工学における様々な問題で,主値積分を含む積分方程式が現れることはよく知られている.また,そのような積分方程式の近似解を得るための数値計算法も提案され,その誤差解析も試みられている.その結果,主値積分の被積分関数の不連続性が大きな誤差につながる可能性があることがわかっている.そこで,本研究では,工学で現れる主値積分方程式に対する精度保証付き数値計算を考えている. 精度保証付き数値計算とは,数値計算で得られた近似解の誤差を計算機を用いて厳密に評価する手法である.基本的なアイディアは,対象としている方程式と等価な不動点形式を導き,それに対して不動点定理を適用することである.そうすることにより,近似解の近傍に真の解が存在するか否かを判定することができる.また,実際には,ディジタル計算機では実数は有限桁の浮動小数点数で近似されるので,厳密に誤差を評価するためには丸め誤差を考慮に入れた工夫が必要である. 本研究では,具体的な方程式として,水の波の形状を与えるNekrasov積分方程式の精度保証付き数値計算を試みた.この方程式は対数特異核を含む特異積分方程式で,その精度保証には幾つか工夫が必要であることがわかった.まず,この問題の難しさは特異積分の評価にあるが,三角多項式に対しては厳密に評価できるという性質がある.そこで,近似解とその近傍は三角多項式を用いて表現し,関数空間は周期的Sobolev空間を用いると,実用的な計算時間で精度保証が行えることがわかった. 今後の課題としては,不動点定理の条件を計算機を用いて評価するための効率的な手法,具体的には集合値関数の包含関係の数値的評価法の開発を考えている.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tanaka, K., Murashige, S., Oishi, S.: "On Necessary and Sufficent Conditions for Numerical Verification of Double Turning Points"Mathematical Engineering Technical Reports. 4. 1-18 (2003)
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[Publications] Murashige, S., Oishi, S.: "Numerical Verification of Solutions of Nekrasov's Integral Equation"Mathematical Engineering Technical Reports. 11. 1-15 (2003)