2002 Fiscal Year Annual Research Report
流体力学における圧縮性/非圧縮性流れの統一数値解法の構築に関する研究
Project/Area Number |
14550060
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中山 司 中央大学, 理工学部, 教授 (20144446)
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Keywords | 数値解析 / 移流方程式 / 特性曲線法 / アルゴリズムの自動微分 |
Research Abstract |
本研究の統一解法で用いる流れの方程式に対する計算スキームは,方程式を非定常拡散方程式と移流方程式に分離し,個々に解くものである.このとき,移流方程式の計算精度が,人工粘性の大きさに影響し,全体の精度を決定する.本研究では,移流方程式の解法に特性曲線法を応用する.これは,ある時刻にある位置での関数値を,その位置から特性曲線に沿って前時刻にさかのぼった位置で前時刻の関数値の分布から補間によって計算するものである.この補間計算にどのような多項式を用いるかが精度向上の鍵になっている.従来は関数値のみを用いた2次のラグランジュ多項式を用いていたが,満足のいく計算精度が得られているとは言い難い. そこで,本年度は,関数の微係数を用いる3次のスプライン関数を補間式に用いることにし,その微係数の計算に"アルゴリズムの自動微分"を応用することを検討した.アルゴリズムの自動微分とは,関数値を計算する計算機プログラム(有限要素法による計算プログラム)のアルゴリズムを解読して,合成関数の微分の考え方に基づいて微係数の計算プログラムを自動生成する方法である.差分法を用いる数値微分に比べて精度の高い微係数を計算できると言われている.本年度の研究では微係数の計算プログラムを自動生成するソフトウェアとして,久保田光一教授(中央大学)が開発したPADRE2を使用した. 1次元と2次元の移流現象のベンチマーク問題を用いて数値計算を行った結果,自動微分を用いる方法は人工拡散の影響が少なく良好な計算精度が得られることがわかった.しかし,自動微分という概念は,あらかじめ与えられた関数値から影響係数という意味での微係数を計算することを念頭に置いて構築されているため,計算領域の境界の位置や形状,境界条件などに対する対応が不十分である.そのため,境界付近では微係数の計算精度が著しく低下してしまうことが観察された.自動微分の手法を統一解法に組み込むためには,境界付近で微係数を算出する自動微分のアルゴリズムを再検討することが必要であることがわかった.
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