Research Abstract |
本研究では,先端複合材料の設計に関連して,以下の3つの領域について検討を行った. (1)三相複合材料の相間特性の推定 3つの等質・等方な弾性相,すなわち,球状内在物,相間,母材で構成される複合材料について,理論的に検討し,その有効特性が,四相複合球モデルを用いて正確に評価できること,さらに,より簡略化したモデルである三相複合球モデルを2回適用する,2ステップ法を提案し,その方法によっても,その有効特性は厳密に評価可能であることを明らかにした.本研究で適用したそれらの手法では,複合材料の有効弾性係数および有効ポアソン比の分布図を得られ.内在物,母材,複合物全体の特性が既知であれば,この分布図から相間の弾性特性のが推定可能となる.コンクリート材料を対象として,数値計算を行って,本研究で提案した三相複合球モデル2ステップ法を用いることで,四相複合球モデルと同様の結果が得られることを示し,その有効性を確認した. (2)座屈発生規準を考慮した周期的微視構造を有する複合材料のトポロジー最適化 複合材料の微視構造の設計について,均質化問題として捉え,その固有値,最適化,局所的な座屈モードを着眼点として検討した.本研究では,最適な材料分布の設計のため,2つの異なる定式化,すなわち,限界座屈荷重係数の最大化による定式化と限界座屈荷重係数の下限境界上での等価ひずみエネルギー密度の重みつき和の最小化による定式化を提案した.その上で,固体相と空隙相から成る複合材料を具体的な検討対象として,その微視構造のトポロジー最適化の検討例を示した. (3)均質化法を用いた複合材料の微視構造最適化 等方材料からなる2次元複合材料の微視構造の最適化について,均質化法を用いて検討した.本研究では,2つの異なる材料から構成される複合材料について,与えられた体積力条件下で最大せん断弾性係数を発揮する最適な微視構造設計を行った.その結果,単位セルの初期設計が,最適化の結果得られた微視構造に大きな影響を与えていることが明らかとなった.そのため,幾つかの異なった単位セルの微視構造を仮定し最適化計算を実施し,最大せん断弾性係数を有する微視構造としては,幾つかの異なった構造と成りえることを明らかにした.
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