2003 Fiscal Year Annual Research Report
自動車衝突時の子供の拘束方法に関する生体力学的研究
Project/Area Number |
14550073
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 幸治 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (80335075)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 一生 (株)豊田中央研究所, 第16研究領域, 主席研究員
山本 創太 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (80293653)
田中 英一 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00111831)
|
Keywords | 交通外傷 / 小児外傷 / バイオメカニクス / 有限要素解析 / チャイルドシート / 衝突安全 / スケーリング |
Research Abstract |
本研究では,CRS使用時の子供の詳細な傷害の解析を目的とし,大人人体有限要素モデルTHUMS AM50のスケーリングに基づき,3歳児人体FEモデルを作成した.3歳児の人体計測値に基づき,身体各部位におけるスケールファクターを求め,AM50モデルに対して形状のスケーリングを行った.その結果,3歳児の人体計測値との誤差が10%程度であり,3歳児の形状を表した人体FEモデルを作成することができた. 3歳児の骨の材料特性は文献を基に骨の弾性係数,破断強度,ひずみを求め,子供の骨の応力-ひずみ曲線を推定した.この推定した3歳児の特性から,3点曲げ解析を実施し,実験結果とよく一致した. 3歳児FEモデルの衝撃応答を3歳児ダミー校正要件を用いて検証した.特にCRSの拘束に関連する胸部,腰部の特性に対して検証を行った.本モデルは衝突ダミーの胸部応答要件を満たし,さらにダミーよりも死体に近い応答を示した.すなわち,本モデルでは衝突ダミーよりも詳細に人体の胸部傷害メカニズムを再現できる可能性がある. 3歳児FEモデルを用いチャイルドシート(CRS)による衝撃解析を行った.3歳児FEモデルではCRSシールドにより荷重を受けた胸椎を中心に体幹が屈曲した.それに対し,衝突ダミーでは腰椎で体幹が屈曲した.本モデルの応答は,衝突ダミーよりも死体の応答に近く,本モデルは人体挙動を再現していると考えられる.さらに胸部内臓の応力分布について検討した結果,シールドタイプのCRSでは胸部の圧迫により,胸部内臓傷害の危険性があることがわかった. 本研究で開発した3歳児人体有限要素モデルを用いることで,従来,困難であった子供の骨折などの詳細な傷害の評価,CRSの拘束方法の評価が可能となり,本モデルが傷害再現のための有効なツールであることが示された.さらにこのモデルにより,子供の解剖学的特長及び傷害メカニズムを考慮したCRSの設計開発のための有用な知見が提供できると期待される.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] K Mizuno, T Deguchi, K Furukawa, K Miki: "Development of Human Three-Year-Old Child FE Model"International IRCOBI Conference on the Biomechanics of Impact. (発表予定). (2004)
-
[Publications] 出口貴嗣, 水野幸治, 古川一憲, 三木一生, 米澤英樹: "3歳児人体有限要素モデルの開発"自動車技術会学術講演会前刷集. 15-18 (2003)
-
[Publications] 出口貴嗣, 水野幸治, 古川一憲, 三木一生, 米澤英樹: "3歳児人体有限要素モデルを用いたCRSによる拘束方法と傷害の研究"機械学会東海支部三重地区講演会. 98-99 (2003)
-
[Publications] 古川一憲, 渡辺功, 三木一生, 出口貴嗣, 水野幸治: "子供FEMモデルの開発(第5報:代替動物頸部曲げ試験による6歳児頸部材料特性の推定)"日本機械学会第16回バイオエンジニアリング講演会. 429-430 (2004)