2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザ照射による金型のみがき工程短縮化に関する研究
Project/Area Number |
14550097
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田村 武夫 新潟大学, 工学部, 助教授 (90115048)
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Keywords | 放電加工 / レーザ照射 / クラック / 残留応力 / 表面粗さ / 金型 |
Research Abstract |
放電加工による金型製作では、みがき工程に多くの労力と時間が必要となる。一般に、みがき工程は加工変質層を除去することと加工面粗さを小さくすることが主目的である。ところで最近、クラックなどが存在する鋼放電加工面にレーザビームを照射するだけで、クラックなどの欠陥が表面層の溶融によりなくなることを見いだした。この手法は凹凸が比較的少なく、準鏡面状態を必要とする金型へ十分適用できるものと考えている。そこで、冷間ダイス鋼放電加工面にレーザビームを照射することで、放電加工による形状を維持したまま、準鏡面状態の金型製作を目指した結果、以下に示す結論を得た。 ・金型への照射 50mm x 50mmの単純な3次元形状金型を放電加工により製作し、この領域をレーザ照射によって改質した。放電加工面にレーザービムを照射することで、準鏡面状態が得られるものの、十分な硬度を達成するためには時効処理が必要となる。面粗さは放電加工面では25μmRyであったものが、レーザ照射によって、ビームの走査方向では3μmRy、走査方向と直角方向では5μmRyとなり、面粗さも大幅に改善することができた。次に、この金型にはx-y平面に対して45度の勾配をもつ曲面がある。このような傾斜部へのレーザ照射では、重力の影響によって面がダレて、改質前の放電加工面の形状を大きく損ねてしまうことが予想された。しかし、改質された金型を見ると、曲面照射においても形状は揖なわれていない。おそらく、溶融状態において界面に働く表面張力が効果的に金型形状を維持したものと思われる。なお、金属顕微鏡により広範囲にわたって改質面を調べた結果、改質面には凝固割れはなかった。
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