2002 Fiscal Year Annual Research Report
マクロ現象を自己創発する分子動力学の開発とその脆性・延性遷移現象への適用
Project/Area Number |
14550102
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲村 豊四郎 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60107539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武澤 伸浩 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (50236452)
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Keywords | 分子動力学 / 繰り込み / 切削 / シミュレーション / 脆性・延性遷移 / ミクロ・マクロ間相互作用 / ナノテクノロジー / 創発 |
Research Abstract |
(1)「繰り込み群分子動力学」に、ミクロ・マクロ間相互作用を導入する方法を開発した。具体的には、「逆繰り込み変換分子動力学」によって調べられた各クラスター内のサブクラスター配置をもとに、エネルギー保存則が成立するよう、その時のクラスター間ポテンシャルを決定する方法を開発し、これをもとの「繰り込み変換分子動力学」に戻すよって、ミクロからマクロへの作用を導入した。マクロからミクロへの作用は、従来どうり「繰り込み変換分子動力学」の結果によって、「逆繰り込み変換分子動力学」におけるサブクラスターの平均位置、速度を拘束する方法を用いた。 (2)上記(1)による新手法で、無欠陥シリコン単結晶を、ダイヤモンド工具で切削するシミュレーションを行った。従来の「繰り込み変換分子動力学」では、いかなる切り取り厚さに対しても、脆性モードがシミュレートできなかったものである。これは工具刃先付近で起こるミクロの欠陥生成が、従来の「繰り込み変換分子動力学」ではシミュレートできなかったこと、さらに生成されたミクロ欠陥とマクロ切削場とのミクロ・マクロ間相互作用も考慮されえなかったことによる。本研究では、先ず「繰り込み変換分子動力学」により、切り取り厚さ1ミクロンの切削シミュレーションを実行し、次にその結果をもとに、工具刃先付近のみ「逆繰り込み変換分子動力学」によってズーミングシミュレーションした。この時ミクロの欠陥生成が予期した通り観察された。そこでこの時のサブクラスター配置をもとに、クラスター間ポテンシャルを更新し、再び「繰り込み変換分子動力学」を続行したところ、脆性モード切削が実現された。このことにより、材料の破壊現象には、ミクロ・マクロ間相互作用が決定的に重要であることが示された。なおこの成果は、生産加工分野で世界的な権威のあるCIRP(国際生産加工研究会議)で発表した。
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Research Products
(1 results)