2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550129
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
杉下 潤二 名城大学, 理工学部, 教授 (90076555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 友一 名城大学, 理工学部, 助教授 (40172936)
宇佐美 初彦 名城大学, 理工学部, 助教授 (80278324)
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Keywords | 手擦れ / 摩擦係数 / 比摩耗量 / 軟質金属 / 木材 / 指 / 角質層 |
Research Abstract |
ヒトの指先で固体材料を繰り返し摩擦した場合、固体材料であっても手擦れ摩耗が生じる。この現象は「手擦れ」と呼ばれてきた。従来、皮膚と固体材料間の摩擦係数は固体材料同士の摩擦係数よりも数倍高いことは知られていたが、その摩耗機構は明らかにされていなかった。しかし、本研究によって、手擦れ摩耗が指先角質層による掘り起こし摩耗によって生じることが判明した。以下はその要約である。 1)軟質金属の場合:インジウムや鉛など極軟質金属はもちろんのこと、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケルなどの軟質金属では、指先角質層によって数ミクロン幅の引掻き傷が発生し、摩耗粉が角質層の摩耗粉中に混在して排出される。その摩耗粉には数ミクロンの金属性摩耗粉が介在することをX線分析で確認した。この摩耗粉は母材(本研究では軟質金属)の表面を掘り起こし、筋状痕を形成させる。したがって、従来から知られていた手掌と固体材料間の高摩擦特性は、これら摩耗粉が指紋凹部に固定されてアブレージョンを誘発し、または脱落時に展動することによるラッピング作用によって生じることが判明した。その結果、軟質金属の摩耗量は材料硬さに逆比例し、比摩耗量にして、10のマイナス4乗のオーダーで推移した。 2)木材の場合:実験に用いた木材は密度や柔組織の異なる乾燥材である。まず、摩擦係数はバルサなど柔組織割合の大きい木材、つまり軽い木材はど、摩擦係数は低く、密度(比重)の高いリグナムバイタの70%ほどであった。バルサ材の比摩耗量は、リグナムバイタ材に比べて10倍はど高い値であった。摩耗機構は金属と同じように指角質層による機械的摩耗によって生じることが判明した。 以上の研究成果から、永年にわたるビンズル像(木像)やペテロ像(ブロンズ像)の手擦れ現象はおよそ解明された。これらの成果は別紙のとおり報告ないし報告予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Junji Sugishita: "A Study on Tactile Friction and Wear-Frictional Wears Characteristics of Human Fingers on Various Soft Materials-"金属学会誌欧文編 Frontiers of Smart Biomaterials. 45-4(未定). (2004)
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[Publications] Junji Sugishita: "Finger Frictional Wear Mechanism of Soft Metals"3^<rd> International Symposium on Designing, Processing and Properties of Advanced Engineering Materials. 2003-11. 122-125 (2003)