2002 Fiscal Year Annual Research Report
有限の長さを持つ回転円柱間の流れの分岐構造と遷移ダイナミクス
Project/Area Number |
14550146
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 崇 名古屋大学, 情報メディア教育センター, 教授 (40182927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 新太郎 岐阜大学, 工学部, 教授 (20023236)
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Keywords | テイラークエット流 / 端面効果 / 流動モード / 分岐現象 / 遷移ダイナミクス / 非一意性 / 複雑系科学 / 流体工学 |
Research Abstract |
初期の静止状態から内円柱が回転を始める2重円柱間に発達する複雑な流れの解析を行う.円柱の長さは有限であり,両端面は固定壁面である.この流れを支配する物理パラメータのうち,レイノルズ数,アスペクト比および内円柱の増速時間に注目して研究を進める.流れが準定常状態にいたるまでの発達過程について,軸対称性を仮定した従来の評価方法における時間,空間離散スケールの妥当性を確かめた.その上で,この軸対称を仮定した解析対象から代表的な例を選び3次元流の解析を行った.まず,軸対称を仮定した場合の結果と3次元解析の結果はおおむね一致すること,および3次元解析では波動流れを含めた非軸対称流れを予測可能であることを確認した.また3次元解析により,同一物理パラメータ,同一最終流動モードにおいて,少なくとも3種類の発達過程が存在する場合があることを明らかにした.アスペクト比が1程度の,円柱の長さが短い場合の流れにおいて,ほぼ正弦波的な変動を伴う非定常流れが現れることは,軸対称性を仮定した方法によっても予測されていたが,3次元解析により,この非定常モードが,さらにいくつかのタイプに分かれることを示した.つまり,周方向への物理量が正弦波的に変化するこれまでのタイプのほかに,ビートを伴うタイプや,バースト的に変化が現れるタイプがなどあることを明らかにした.これらの新しいタイプは,3次元性を仮定して初めて予測できたものであり,実験的にも存在が見出されている.自由表面を持つ流れを高精度で予測するために,気液境界の形状を平滑化するアルゴリズムの検討を進めた.そして,離散的に与えられる表面位置の変動が極端に大きくならない限り,この平滑化法が妥当な結果を与えることを確認した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 古川 裕之: "定量的なモード判定法を用いたテイラー渦流れの形成過程の非一意性に関する研究"日本計算工学会論文集. 4. 209-218 (2002)
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[Publications] 古川 裕之: "アスペクト比が小さい場合のテイラー渦流れ(変異・正規モード間の流動形態変化と非定常モードの遷移過程)"日本機械学会論文集(B編). 68・674. 2671-2678 (2002)