2003 Fiscal Year Annual Research Report
相転移における自己組織化制御とナノテクノロジーへの応用
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14550217
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 昌明 山口大学, 工学部, 教授 (30201916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮島 啓一 山口大学, 工学部, 助手 (80314821)
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Keywords | 相転移 / 秩序・無秩序転移 / 相境界 / 平均曲率流 / 等速成長 / 確率等高面方程式 / シミュレーション / 自己組織化 |
Research Abstract |
工学における重要な自己組織化現象の1つに相転移問題がある.相転移において物理的状態の異なる相を隔てる境界を相境界という.相境界の挙動は外界の影響を受ける場合と受けない場合に分類できる.本研究では非線形確率偏微分方程式を用いて,この2種類の相境界挙動のモデリング手法を確立し,以下の点を明確にした. (1)相境界の定性的解析:相境界の挙動は一般に外部からの影響を受ける.しかし,金属材料の焼き鈍しにおける粒界の挙動のように,その挙動が外部の影響を受けず,相境界の曲率のみに依存する場合がある.そのような場合を考察対象に材料内の不純物や熱雑音等の不規則な外乱の影響を確率過程としてモデル化し,材料内の粒界挙動の確率モデルを構築した.次に,確立した相境界挙動モデルに対して等高面法を用いて定式化した.その際には確率粘性解という弱解の概念を導入した.さらに,相境界挙動が外界の影響を受ける自由境界問題については確率相場モデルを新たに提案し,解析を行った.これにより,モデルに過冷却・過加熱・表面張力といった実際的な現象をモデルに反映することが可能となった. (2)相境界の定量的解析:有限差分法を用いて主要設備のシミュレータにより相境界挙動の定量的解析を行い,外乱が相境界挙動にどのような影響を与えるのかを明確にした.その結果,外乱は相境界が外界の影響を受けない平均曲率流に対しては相境界の移動速度を減少させることや外乱に依存して粒界の分離・融合が生じる場合があることが分かった.このように外乱は相境界挙動に大きな影響を及ぼすことが判明した.また,外界の影響を受ける相境界挙動においては温度に揺らぎが生じるが相境界の運動には大きな影響を及ぼさないことが分かった.本研究で得られたシミュレーション解析結果は金属材料のナノサイズでの材質制御の基礎研究として有用であると思われる.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 石川 昌明, 宮島 啓一: "有界領域におけるTuringパターンへの不規則外乱の影響解析"日本シミュレーション学会論文誌. 掲載決定. (2004)
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[Publications] M.Ishikawa, K.Miyajima: "Simulation Analysis of Motion of Phase Boundaries by the Stochastic Level Set Method"Proceedings of the 4^<th> European Congress on Computational Methods in. 掲載決定. (2004)
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[Publications] 石川昌明, 宮島啓一: "確率等高面方程式による相境界の運動解析"第46回自動制御連合講演会講演論文集. CD-ROM. (2003)
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[Publications] M.Ishikawa, K.Miyajima, Y.Shiroyama: "On the Stochastic Modeling of Phase Transitions and the Behavior Analysis by Simulations"Proceedings of ICCA '03(IEEE The 4th International Conference on Control and Automation). CD-ROM. (2003)
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[Publications] M.Ishikawa, K.Miyajima, Takayuki Tanabe, T.Kitani: "Analysis of Two-phase Stefan Problems by the Stochastic Phase Field Model and Simulation"Abstracts of the 35th ISCIE International Symposium on Stochastic Systems Theory and Its Applications. 1. 108-109 (2003)
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[Publications] M.Ishikawa, K.Miyajima, Takayuki Tanabe: "Analysis of the Influence of Random Disturbances on Turing Patterns in Bounded Domains"Abstracts of the 35th ISCIE International Symposium on Stochastic Systems Theory and Its Applications. 1. 106-107 (2003)