2004 Fiscal Year Annual Research Report
相転移における自己組織化制御とナノテクノロジーへの応用
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14550217
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 昌明 山口大学, 工学部, 教授 (30201916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮島 啓一 山口大学, 工学部, 助手 (80314821)
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Keywords | 相転移 / 秩序・無秩序転移 / 相境界 / 平均曲率流 / 等速成長 / 確率等高面方程式 / シミュレーション / 自己組織化 |
Research Abstract |
相転移において物理的状態の異なる相を隔てる境界を相境界という.相境界の挙動の解析は相転移におけるナノサイズでの自己組織化制御に重要である.一般に,相境界の挙動は外界の影響を受ける場合と受けない場合に分類できる.本研究ではこの2種類の相境界挙動について以下の点を明確にした. (1)外界の影響を受けない相境界挙動解析: 金属の焼き鈍し時に見られる粒界の運動は相境界の挙動が外部の影響を受けず,その幾何学的形状のみに依存する平均曲率流に従う.そこで,外乱を考慮した相境界の平均曲率流のモデル化を行い,外乱が相境界運動に及ぼす影響を解析した.さらに,運動の一意性がない,いわゆる肥満現象についても提案したモデルを用いて不規則外乱の肥満現象への影響について考察した.その結果,外乱の強度は同じであっても,相境界挙動に大きな影響を及ぼす場合があることが明らかになった.たとえば,円環部の断面直径より中央部の穴の直径の小さなトーラス型相境界の平均曲率流では外乱がなければ中央部が先に消滅し,球状になってから消滅するが,外乱存在下では外乱の影響で中央部が消滅せず,トーラス型を維持したまま消滅することがある.この場合は消滅時刻が他の場合より早くなる.8の字型相境界の平均曲率流のように肥満現象が起き,運動に一意性がなくなる場合がある.そのような場合,外乱は解集合から一意に解を選択する性質をもつことが推測できた. (2)外界の影響を受ける相境界挙動解析: 自由境界問題の代表例であるステファン問題における相境界挙動解析を行った.ステファン問題のモデルとして,自由境界の厚みを考慮し,表面張力、過冷却、過加熱などの物理的現象を反映した相場モデルを採用し,解析を行った.さらにモデルに結晶の異方性や外乱の影響を導入することにより樹枝状結晶等の複雑な形状の結晶生成過程が解析可能な確率相場モデルを提案し、結晶成長過程の解析を行い,外乱が相転移,結晶性成長過程に大きな影響を及ぼしていることを明らかにした.
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Research Products
(6 results)