2002 Fiscal Year Annual Research Report
気体中放電による重水素吸蔵金属電極からの過剰熱発生と電極生成物に関する研究
Project/Area Number |
14550255
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山田 弘 岩手大学, 工学部, 教授 (60125482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 晋也 岩手大学, 工学部, 助手 (80322965)
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Keywords | 重水素 / バラジウム / 過剰熱 / 水素吸蔵 / グロー放電 / 核変換 / ガンマ線計測 / TOF-SIMS |
Research Abstract |
軽水素または重水素吸蔵パラジウム板電極を陰極として軽水素または重水素ガス中で放電を継続し、その間、NaIシンチレーションカウンターによりガンマ線を計測した。さらに放電試行後にパラジウム電極に対するTOF-SIMSによる試料表面の元素分析を行った。その結果、重水素中グローライク放電においてガンマ線スペクトル上で5つの異なるエネルギーに対応するピークが観測された。また、228keVのガンマ線が観測されたパラジウムから自然存在比と異なる同位体存在比のマグネシウムが検出された。軽水素中グローライク放電においては自然存在比と異なる同位体存在比のカリウムが検出された。軽水素3Torrのグロー放電において検出されるバリウム量はスパッタークリーニングを受ける前よりも後が多い、パラジウムより質量数が小さい元素と大きい元素の両方が生成されるなど、固体内核反応の機構究明に寄与する知見が得られた。 さらに補足実験として、パラジウム板の片面にMnO_x薄膜または金薄膜を修飾し、軽水素吸蔵後に真空中でこれに電流を約10時間流し、その間、四重極型質量分析計による質量分析および試料の温度計測を継続した。その結果、MnO_x薄膜とAu薄膜を表面修飾した場合共にガス放出に伴い異常温度上昇を起こすことが分かった。しかし、MnO_x薄膜をもつ場合よりもAu薄膜をもつ場合の方が温度上昇は大きい。また、パラジウム試料の厚さが異なっても試料片面に表面修飾を施し軽水素放出の際にその流れの不均一性を作り出すことによりガス放出に伴う発熱を容易にできることが分かった。温度上昇時のガス質量分析の結果から温度上昇に関与する可能性が高い元素はトリチウムとヘリウム3である。これまで報告されている重水素ガスのみならず、パラジウムに吸蔵された軽水素ガスの急激な移動がパラジウムなどの固体中また表面における核反応と深く関わっていることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A.Arapi, H.Yamada et al.: "New Element Production on/in Deuterated and Hydrated Palladium Electrodes by DC Glow Discharge"Jpn. J. Appl. Phys.. 401・10B. L1181-L1183 (2002)
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[Publications] T.Sato, S.Narita, H.Yamada et al.: "Analysis of Production Elements on Pd Surface after Light and Heavy Water Electrolysis"Proceedings of the 4^<th> Meeting of Japan CF Research Society. 9-12 (2003)
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[Publications] H.Onodera, S.Narita, H.Yamada et al.: "Analysis of Nuclear Products in Hydrogen Penetration through Palladium"Proceedings of the 4^<th> Meeting of Japan CF Research Society. 42-45 (2003)
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[Publications] N.Tanaka, S.Narita, H.Yamada et al.: "Observation of Heat Evolution with Palladium Hydride in the Evacuated Chamber"Proceedings of the 4^<th> Meeting of Japan CF Research Society. 46-49 (2003)
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[Publications] Naoki Sato, Shinya Narita, Hiroshi Yamada et al.: "Gamma Ray Measurement and Surface Analysis on Deuterated and Hydrated Palladium Electrode under DC Glow-like Discharge"Proceedings of the 4^<th> Meeting of Japan CF Research Society. 50-53 (2003)
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[Publications] 佐藤直樹, 成田晋也, 山田 弘他4名: "グロー放電法によるパラジウム中の低エネルギー核反応"電気学会・プラズマ研究会資料. PST-03-2. 7-11 (2003)