雷遮蔽理論刷新のための先行雷撃進展プロセスに与える空間電荷密度分布の影響調査研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14550262
• Research Institution: Gifu University
• Principal Investigator: 高木 伸之 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80179415)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 王 道洪 岐阜大学, 工学部, 助教授 (20273120) ; 渡邉 貞司 岐阜大学, 工学部, 教授 (20021595)
• Keywords: 空間電荷密度 / 雷雲 / 音波・電波 / 雷遮蔽 / リアルタイム計測

Research Abstract

本研究は当研究室で開発されたリアルタイム空間電荷密度分布測定システムを高感度化して送電鉄塔近傍の空間電荷密度と地上電界、風向、風速の関係を明らかにし、さらに、リーダ進展シミュレーションモデルにこの結果を算入して空間電荷密度分布と雷遮蔽失敗の関係を明らかにすることを目的としている。
本年度は室内実験では、(1)音波による空間電荷群の空間分解能標定、(2)2本の針端電極からのコロナ電流の相互依存性について調査した。屋外実験では(3)新潟県名立町での風力発電設備からの上向きリーダの高速撮影、(4)福井県美浜町では15mの塔頂部の音波による空間電荷密度測定及び塔頂部の複数の針端電極の相互依存性について調べた。
(1)では2組の針平板電極(電極間ピッチ80cm)に直流高電圧を印可し2層の空間電荷群を形成した。そこに音波を照射したところ、電界出力より推定される電荷間ピッチは76cmと算出され空間電荷分布測定システムに十分な空間分解能があることが分かった。
(2)において、電界中の2本の針端電極からのコロナ電流はお互いの距離を高さの2倍以上離すと単独で存在したときのコロナ電流値になることを確認した。
(3)は現在観測中であるが2003年12月から2004年1月までに7例の上向き雷放電を記録している。
(4)では15mの塔頂に東西及び南北両方向にそれぞれ4本づつ針端電極を設置して雷雲下のコロナ電流及び風向・風速、地上電界を測定した。その結果、針端部は地上電界の約40倍電界強度が高い、風速が大きくなると針端から出た電荷は風下側に流されるが、風下側への影響(逆極性の電界重畳)は小さくなることが分かった。風速12m/sの場合12cm離れた風下側の針端電流は約40%減少する。

Research Products

• [Publications] D.Wang, N.Takagi, X.Liu, T.Watanabe, A.Chihara: "Luminosity characteristics of multiple dart leader/return stroke sequences measured with a high-speed digital image system"Geophysical Research Letters. (in press). (2004)