2003 Fiscal Year Annual Research Report
フェライト微粒子/有機材料複合膜を用いた分布定数コモンモードフィルタに関する研究
Project/Area Number |
14550322
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山沢 清人 信州大学, 工学部, 教授 (50005477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 敏郎 信州大学, 工学部, 助教授 (50283239)
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Keywords | USB / IEEE1394 / HDMI / コモンモードフィルタ / フェライト粒子 / ポリイミド / スクリーン印刷 |
Research Abstract |
平成15年度は、スクリーン印刷法を用いてフェライト微粒子/ポリイミド複合材料厚膜を形成するための諸条件を検討するとともに、信号ラインにAgペースト導体を用いた結合線路形コモンモードフィルタの作製プロセスの検討を行った。以下に得られた結果を要約して示す。 (1)スクリーン印刷法を用いたフェライト微粒子/ポリイミド複合材料厚膜の作製 フェライト/ポリイミド複合材料をスクリーン印刷法で作製する場合、フェライト体積充填率を50%以上に高くすると、ポリイミドバインダが少なくなることにより膜にクラックが入る、複合材料ペーストがスクリーンマスクに再付着するなどの問題があり、フェライト粒子がポリイミド中に均一に分散した複合材料厚膜を形成するにはフェライト粒子の量を50%以下にする必要があることが明らかになった。スクリーン印刷法で作製した複合材料厚膜は、下記に示す電気的磁気的特性を有し、従来のスピンコート法で作製されたものとほぼ同じ諸特性を有する。 ・Mn-Znフェライト粒子/ポリイミド系;比透磁率5〜6、比誘電率100、導電率10^3Ω・m ・Ni-Znフェライト粒子/ポリイミド系;比透磁率5〜6、比誘電率10、導電率10^5Ω・m以上 スクリーン印刷法はスピンコート法に比べて材料の利用率が10倍以上高く、リサイクルフェライト粉を再利用することと併せて、作製コストを大幅に低減できるものと考えられる。 (2)スクリーン印刷法を用いた結合線路型コモンモードフィルタの試作 Mn-Znフェライト粒子/ポリイミド複合材料ペースト、ならびにAgぺーストを用いて、結合線路型コモンモードフィルタを試作した。試作したフィルタは、2本のAg導体ラインが縦方向に平行して配置されるものであり、同平面上に2本の導体ラインを配置する従来構造に比べて、導体線路間の磁気結合を高くできる。スクリーン印刷法は、縦方向に2つの導体層を形成する三次元的な構造を実現するのに適しており、本方法によって、3.5×5.5mmサイズのチップ積層コモンモードフィルタを試作した。試作フィルタは、コモンモード、バランスモードのいずれに対しても、5GHzで15dBの減衰量を有する。試作フィルタは、1.5Gbpsのデータ転送速度を有するHDMI(High Definition Multimedia Interface)に適用できる可能性がある。しかしながら、縦方向に配置された2本のAg導体ライン間に形成した複合材料層の厚さが80μm程度と厚いためにバランスモード動作時の磁束のキャンセルが不十分であり、このために導体ライン間の磁気結合が大きく低下し、コモンモードとバランスモードの減衰量に差が現れない。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Toshiro Sato, Takahiro Kokai, Masashi Moroishi, Kiyohito Yamasawa, Toshiyuki Sakuma, Hiroki Karasawa, Koichi Hirasawa: "Fabrication of a Common-mode Noise Filter for Balanced-mode Signal Transmission using Mn-Zn Ferrite/Polyimide Composite Thick Film"電気学会論文誌(基礎・材料・共通部門誌). 124巻・1号. 91-97 (2004)