2002 Fiscal Year Annual Research Report
衛星回線における降雨時のネットワーク動作特性とデータ伝送効率に関する研究
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14550388
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
前川 泰之 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (30181572)
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Keywords | 衛生通信回線 / 降雨減衰 / 前線 / 不稼働率 / サテライトダイバシティ / サイトダイバシティ / Ka帯 / Ku帯 |
Research Abstract |
平成14年度は、降雨時の衛星通信回線のネットワーク動作特性を実回線やシミュレーションで検討を行う準備として、衛星間および地球局間でネットワーク運用の切替を行った場合の時間率の改善率の評価を数値的計算することにより行った。衛星間切替、即ちサテライトダイバシティに関しては、1995年から1998年の間に、CS-3(後にN-STAR)、BS、JCSATの3衛星の電波を長期にわたって同時に測定したデータを用い、それぞれの周波数帯の受信レベルを周波数スケーリング法によりKa帯(19.45GHz)やKu帯(11.8GHz)の同じ周波数での降雨減衰値に変換して上で、減衰量が衛星軌道位置を除いて同一条件になるようにして公正な評価を行った。その結果、軌道位置でそれぞれ20°、方位角でそれぞれ30°程度差がある3個の伝搬路上において、前線や対流雲の空間スケールや通過速度に従って、降雨減衰量のピークの出現に1〜数分程度時間差が生じ、その移動方向は西から東へ向かう例が圧倒的に多かったが、大型台風接近時等は逆に東から西へ向かう例もあった。そして、Ka帯で10〜20dB(Ku帯で3〜8dB)の減衰量に対し、サテライトダイバシティによって回線不稼動時間率が40%程度改善(1回線だけの場合の60%まで減少)することが示された。また、このダイバシティ効果は前線種別等の気象状況に大きく依存し、概して寒冷前線や夕立等の比較的規模の小さい対流雲に対しては効果が高いものの、停滞前線を伴なう低気圧の通過や台風が停滞前線を刺激した場合等、空間スケールが大きい降水雲が広く分布する場合には効果が少ないことが示された。地球局間で切替を行うサイトダイバシティに関しては、本年度より本学(寝屋川市)の他、宇治市(約20km北東)と信楽町(約50km東北東)でBS電波(11.8GHz)の同時測定を開始した。宇治市との間ではダイバシティ効果が少ないが、信楽町との間ではその改善効果による不稼働率の減少が確認されている。また、降雨減衰の3点観測による降水雲の分布や進行方向も詳しく推定可能となりつつある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shibagaki Y.M.D.Yamanaka, M.Fukase, H.Hashiguchi, Y.Maekawa, S.Fukao: "Meso-alpha-scale wind field and precipitating clouds in typhoon 9426 (Orchid)"J. Meteor. Soc. Japan.. (in press). (2003)
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[Publications] Maekawa, Y.: "A study on the effects of satellite diversity on Ka-band rain attenuation in three earth-space paths"XXVIIth General Assembly of the International Union of Radio Science. FP, F.7(CD-R). (2002)
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[Publications] Ogata, S., Y.Shibagaki, Y.Maekawa, Y.Sonoi, M.Teshiba, H.Hashiguchi, S.Fukao: "C-band and Millimeter-wave Radar Observations of Wintertime Thunder Clouds related to the Polarity of the Lightning Discharges"International Conference on Mesoscale Convective Systems and Heavy Rainfall/Snowfall in East Asia. 1. 481-484 (2002)
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[Publications] Maekawa, Y., Y.Shibagaki, O.Ogata, Y.Sonoi, M.Teshiba, H.Hashiguchi, S.Fukao: "Simultaneous Observations of Wintertime Thunder Clouds using Millimeter-wave and C-band Radars along the Coast of Mikuni"International Conference on Mesoscale Convective Systems and Heavy Rainfall/Snowfall in East Asia. 1. 398-401 (2002)