2002 Fiscal Year Annual Research Report
音声フォルマントの聴取能力を推定するオージオメータの開発
Project/Area Number |
14550394
|
Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
池田 隆 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 助教授 (80222884)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 卓伸 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 助手 (50270369)
上田 裕市 熊本大学, 工学部, 助教授 (00141961)
渡邉 亮 熊本大学, 工学部, 教授 (50040382)
大崎 邦倫 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 助手 (40280482)
|
Keywords | オージオメータ / 単共振 / 難聴 / 補聴器 / フォルマント / ホルマント |
Research Abstract |
本研究は、音声聴取に関連の深いパラメータとして音声のフォルマント周波数に注目し、音声の聴取能力を推定するオージオメータの開発を目的とする。本年度は、オージオメータをパーソナルコンピュータとこれに付属する信号処理、オーディオ装置により構成した。次に、純音及び単共振波によるヘッドフォン音圧出力と比較校正の後、健聴者による測定実験を行った結果、従来型のオージオメータの正弦波による測定と提案オージオメータで正弦波を提示した場合の2つのオージオグラムはほとんど同じであり、単共振波の場合にはHTLが125[Hz]で15[dB]程度、正弦波よりも低くなる傾向が認められ、125[Hz]から500[Hz]付近の特性から被験者は第2高調波を聴取していることが分かった。予備的に実施した感音性難聴者による聴取実験では、単共振波を聴取した場合HTLが正弦波と異なって測定される周波数が存在し、単共振波の共振周波数と異なる周波数域に存在する信号成分が共振周波数の信号より先に難聴者のHTLを越えたためと分かった。これは、難聴者が単共振信号を聴取する際、ホルマントピークでなく音声の聴き取りにあまり影響しないと思われる成分を認知することを意味し、"音は聞こえるが、何と言っているのか分らない"といった内観を解釈する手がかりとなる。この現象は単共振波が歪みを生じたまま聴取されていることに起因するので、聴取改善のため単共振分解型補聴器で知覚される単共振信号のスペクトル歪ンを除くようHTL特性に基づいた補正を施すことが効果的と思われる。また単共振波の聴取時は、ピッチ情報を認識しており、より音声に近い信号と捉えている。更に、聴力の測定結果から、補聴器のシミュレーションプログラムを用いてフォルマントピークの聴野内分布特性を調べるプログラムを作成し、音声フォルマントの聴取能力推定処理の基本動作を確認した。
|