2003 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバ中のレイリー散乱を利用した高感度歪分布測定技術の研究開発
Project/Area Number |
14550410
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小山田 弥平 茨城大学, 工学部, 教授 (80292473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 真毅 茨城大学, 工学部, 講師 (90323211)
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Keywords | ファイバ応用 / 歪測定 / レイリー散乱 / OTDR |
Research Abstract |
本研究で提唱する測定法では光ファイバにコヒーレントな光パルスを入射して得られるレイリー散乱ジグザグ波形が歪を受けると変化し、適度に光周波数を変えると元に戻ることを利用するものである。本測定法を実現するためには、環境変化のない状態においてジグザグ波形の再現性が保たれなければならない。しかし、従来のOTDRでは、パルス光源の光周波数の安定性がよくないため、再現性のある波形は得られていなかった。我々は、前年度までの研究において、光周波数の変動が10MHz程度に抑えられたレーザをパルス光源として使用することにより、1時間程度の時間間隔においては再現性が保たれることを示した。しかし、この程度の再現性では提案する歪分布測定を実現できないため、今年度は以下の検討を行った。 (1)光ファイバを設置している恒温槽内の温度を0.01度の精度で測定可能な温度計(今年度の補助金にて購入)を使用して測定した結果、約200分周期で0.08度程度変化していることがわかった。また、レイリー散乱波形が僅かな温度変化にも敏感であることがわかった。 (2)上記結果を受けて、光ファイバ温度の更なる安定化を図ることとし、光ファイバを金属容器に入れ、金属容器を水槽の中央部分に設置した。その結果、1日における光ファィバの温度変化は0.02度程度に抑えることができた。 (3)0.02度の温度変化でもレイリー散乱波形は大きく変化し、長時間に亘って波形を安定に保つことは困難であった。しかし、2日間に亘って温度変化を測定し、ほぼ同じ温度(誤差0.005度以内)で測定したレイリー散乱波形を比較したところ、24時間以上の時間間隔をおいても波形はほぼ同じであることが確認された。 上記結果より、「光ファイバを機械的、熱的に同じ環境状態に置いた場合、レイリー散乱波形の再現性は保たれる」という本研究で提唱する測定法の大前提が概略確認された。
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