Research Abstract |
これまで,サンプル値型ハイブリッドシステムモデルを提案し,解の唯一性,可制御性や最適制御について新規な研究成果を得てきた.本年度は,これらの研究で不十分であった可制御性解析,安定性解析,最適制御の研究を中心に充実させ,総括した.具体的には,まず,可制御性解析では昨年度までは確定的な手法を用いていたが,大規模なシステムに適用することはできないため,確率的に可制御性を判定する手法を提案した.本手法では,初期状態とモード列をそれぞれランダムにサンプルして可制御性を判定することで,2種類のアルゴリズムを提案している.この手法により,従来の確定的な手法では判定できなかった大規模なシステムの可制御性判定ができるようになり,実用性の点で大幅な改善がなされた.一方,安定性解析は,特に研究分担者が中心となって,固有値に基づく代数的な解析手法を提案した.従来はリヤプノフ関数を用いた安定性解析が主流であったが,これには判別できる限界があることが指摘されてきた.本手法は代数的に安定性を調べることで,従来よりもはるかに多くのシステムのクラスの安定判別が可能となる.また,最適制御では,モード列に拘束がある場合の最適制御問題に対して,従来手法より数十倍高速に解く手法を提案した.最後に,3年間の研究を,well-posedness解析や安定性・可制御性解析,最適制御などのハイブリッドシステムの制御系設計のための基礎理論として総括した.本研究によって,ハイブリッドシステムの制御系設計への実用化に至る前ステップとして十分な研究成果を得ることができたといえる.
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