2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550444
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒木 光彦 京都大学, 工学研究科, 教授 (60026226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 栄光 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40219118)
小野寺 久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50240825)
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Keywords | 術後糖尿病 / インスリン / 血糖値 / Karlsburgモデル / モデル予測制御 |
Research Abstract |
近年,糖尿病患者や高齢者を対象とする手術が多く行われるようになっている.ところが,糖尿病患者や高齢者は術後に高血糖状態になりやすい.この術後の高血糖状態は縫合不全や感染症などの合併症の原因となる.現在,医療現場では医師の経験に基づいて患者にインスリンを投与することにより,この状態を回避しようとしているが,長時間にわたり瀕回に血糖値を測定する必要があることや,インスリンに対する血糖値の応答が術後の回復期に大きく変化するなどの理由から,適切な制御を行うのは困難である. 本研究では,我々が現在までに開発した血糖値制御システムを基礎として,術後のインスリンに対する血糖値変化が時間的に大きく変化する際にも患者の血糖値を適切に制御するためのシステムを開発することを目的として,制御に用いるモデルの検討を行った.具体的には,従来の動物実験において望ましい制御結果が得られなかった場合について詳細に検討し,インスリンに対する血糖値変化のモデルを再構築し,動物実験で有効性を検討した.その結果,次のようなことがわかった. ・従来,インスリンに対する血糖値変化のモデルとして,「一次遅れ+むだ時間」系を用いてきたが,糖尿病状態では積分特性を持つ. ・インスリンに対する血糖値変化のモデルとしては,線形の範囲では「一次遅れ+積分+むだ時間」系で,それに血糖値低下速度の限界を考慮したモデルが適切である. ・構築したモデルを用いた血糖値制御システムにより,従来よりも望ましい血糖値制御が行え,術後糖尿病の場合にもより適切な制御が行えると考えられる.
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