2002 Fiscal Year Annual Research Report
多項式行列リカッチ方程式の計算機代数的解法とむだ時間システムの最適レギュレータ
Project/Area Number |
14550446
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
伊藤 直治 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (90246661)
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Keywords | 多項式行列リカッチ方程式 / 計算機代数 / むだ時間システム / 最適レギュレータ / ローラン多項式環 / 多項式行列リャプノフ方程式 / スペクトル分解 |
Research Abstract |
本研究は,計算機代数的手法を用いて遅れ型むだ時間システムの最適レギュレータ問題と安定化について考察し,多項式行列リカッチ方程式に基づいた制御系設計法を与えることを目的としている.本年度は,多項式行列リカッチ方程式の解析において重要な役割を果たす多項式行列リャプノフ方程式の定性的性質,多項式環上のシステムとみなされた遅れ型むだ時間システムに対する最適レギュレータ問題の定式化,および最適レギュレータ問題の解を与える多項式行列リカッチ方程式の導出と最適レギュレータ問題の解と多項式行列リカッチ方程式の解との関係を調べた.また,このため,計算機代数的処理を行うソフトウェアとしてMaple,数値計算的処理を行うソフトウェアとしてMatlabを導入した.多項式行列リャプノフ方程式については,多項式環上のシステムとみなされた遅れ型むだ時間システムに対する安定性との関連を考えると,リャプノフ方程式をローラン多項式環上の行列方程式と考える必要があることが分かった.形式的に定義された最適レギュレータ問題の解を与える多項式行列リカッチ方程式も,適当な重み行列を与えればローラン多項式環上の行列方程式と考えることができる.このリャプノフ方程式を有理関数上の方程式とみなし,行列リャプノフ方程式の解が存在するための必要十分条件を得た.同様の観点から,行列リカッチ方程式の解の性質および最適レギュレータ問題の解との関連についても考察することができた.平成14年11月にドイツのWimmer教授の下を訪れ,それまでに得られた結果を説明し,討議を行った.その結果,スペクトル分解について調べることが有効であろうとの認識で一致した.また,ローラン多項式環上の行列リャプノフ方程式と行列リカッチ方程式についてさらに考察していくことが必要であることが分かった.
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